1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07672271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
麻生 真理子 九州大学, 薬学部, 助手 (30201891)
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Keywords | DNA / 酸化的解裂 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
DNAの酸化的修飾はブレオマイシン等いくつかの抗がん剤が活性を発現する重要な機構である。そのDNAの酸化的修飾の一つの様式であるC4′位水酸化より生成する修飾DNA(alkali labile lesion)の解裂、特にアミン、また金属イオンによる解裂を検討するため合成的に不安定な修飾DNA(alkali labile lesion)の安定な前駆体としてC4′位にフェニルセレニル基を有するヌクレオシドを合成し、その修飾DNA(alkali labile lesion)への変換を試みた。3′,5′-ジベンゾイル-2′-デオキシ-4′-フェニルセレノアデノシンを過酸化水素で処理したところセレンの酸化によりシス脱離が進行し、エキソオレフィン体とエンドオレフィン体が生成し、目的とする化合物は得られなかった。つぎにNBSによる反応を検討したところアデニンが遊離することがNMRより確認された。また糖部からは1,3-ジベンゾキシ-4-オキソペンタナ-ルが生成したと思われたが、この化合物は不安定であり完全に精製することはできなかった。そこでNaBH_4で還元したところ3,5-ジベンゾイルペンチトールとして単離することができた。この反応はフェニルセレノ基のブロム化、脱離に伴うオキソニウムイオンの生成、C4′位水酸化体の生成、アデニンの脱離という一連の反応経路を経由していると考えられる。これにより2′-デオキシ-4′-フェニルセレノアデノシンを短いヌクレオチドに組み込みalkali labile lesionの解裂機構の検討が可能となった。現在2′-デオキシ-4′-フェニルセレノアデノシンを組み込んだヌクレオチドの合成を検討している。
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