1995 Fiscal Year Annual Research Report
エンドセリン拮抗物質の探索を目的とした中国特有植物“馬尾樹"の成分検索
Project/Area Number |
07672273
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 功 長崎大学, 薬学部, 教授 (20038607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆 長崎大学, 薬学部, 助教授 (90171769)
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Keywords | Rhoiptelea chiliantha / Rhoipteleaceae / Endserin antagonist / triterpene-Lignan / Triterpene Dimer / Lupane / Tannin / Diarylheptanoid |
Research Abstract |
馬尾樹科(Rhoipteleaceae)は、中国原産の植物Rhoiptelea chiliantha(馬尾樹)1種のみから構成される科であり、分類学上クルミ科、ニレ科およびカバノキ科に近縁とされる。申請者らはこの科の分類学上の位置付けを検討する目的で実験を開始したが、この実験途上最初に得られた26-ハイドロキシオレアノール酸の26位にコーヒー酸がエステル結合したものの3-ケト体が強い抗エンドセリン活性を持ち、得られたものと同一物も弱い活性を持つことがシオノギ製薬研究所によって報告されていた。これらはアメリカ原産で馬尾樹科に近縁のヤマモモ科植物シロコヤマモモの小枝から得られた。 非アミノ酸の抗エンドセリン活性を持つ化合物は不安定なアミノ酸化合物と異なり、高血圧の治療等に有効な薬物として期待されている。従って、分布が限られた抽出部位がもっとも効率の悪いシロコヤマモモ以外の植物を探索しており、この馬尾樹は極めて最適の植物と考えられた。 以上の背景を元に馬尾樹についての成分研究を徹底的に行うこととした。申請時に記述した通り、馬尾樹の樹皮より上記化合物の他にこのものがダイマーとなり、一見中央がリグナンとなった化合物得られていたが、その後にも単離して、計6種得られた。リグナン部分についてはナフタレン、もしくはジヒドロナフタレン型のものが多く、一つだけフラン型のものがあった。その他、非極性部にはルパン型トリテルペンが3種含まれており、一つは26位がカルボン酸として酸化されていた。 また、乾燥果実から加水分解型タンニンオリゴマーの新規化合物を得たが、このものはガロイル基間のC-Cカップリングによって生成したと考えられる化合物であった。一方、果実から2種、葉から1種の新規ジアリルヘプタノイドを単離し新モ-シャー法を適用して絶対構造を含めて構造を確定した。同時にオイファン型トリテルペンを数種単離し構造確定中である。 今後、申請時に記したように医学部谷山研究室と共同して薬理活性を観察する予定である。
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[Publications] Isao KOUNO: "Screening of polyacetylenic alcohols in crude drugs using the ELISA" Biol.Pharm.Bull.18. 933-937 (1995)
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[Publications] Isao KOUNO: "Rhoipteleanins A and B,dimeric ellagitannins formed by intermolecular C-C oxidative coupling from Rhoiptelea chiliantha" J.Chem.Soc.,Chem.Comm.1467-1477 (1995)
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[Publications] Isao KOUNO: "Patrinioside,an esterified monocyclic irido glucoside from Patrinia scabra" Phytochemistry. 40. 1567-1568 (1995)
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[Publications] Isao KOUNO: "A Lupane triterpene and two triterpene caffeates from Rhoiptelea chiliantha" Phytochemistry. 40. 1223-1226 (1995)