1995 Fiscal Year Annual Research Report
エンイン化合物のpd(II)環化異性化反応を用いる(+)-ストレプタゾリンの全合成
Project/Area Number |
07672292
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
樹林 千尋 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80057330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 榮 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (30212385)
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Keywords | (+)-ストレプタゾリン / 酢酸パラジウム(II) / 環化異性化反応 / 鉄カルボニル錯体 / 抗生物質 / エナンチオ選択的合成 |
Research Abstract |
申請者らは、含窒素生物活性天然物をエナンチオ制御下に合成するための新手法開拓を進めてきており、中でも遷移金属を用いる分子内環化反応が、アルカロイドのキラル合成法として有効に活用できるものと注目している。本研究はこのような観点から企画されたものであり、Pd(II)を触媒とする環化反応を用い、(+)-ストレプタゾリンの立体選択的合成法を新規に開発することを目的とした。標的化合物である(+)-ストレプタゾリンはStreptomyces属放線菌より単離された抗生物質であり、この誘導体のあるものは白血病細胞に対しアドリアマイシンに匹敵する強い細胞毒性を持っていることが特に注目される。 上記基本構造に基づき、申請者らは初めにL-酒石酸より数工程を経て合成したキラルなエンイン化合物につき、鍵反応である酢酸パラジウム(II)を触媒とする環化異性化反応を検討した。その結果、BBEDAを添加する反応条件を用いたとき最も高い立体選択性で(Z)-エチリデン基を有する双環性化合物が生成することが判明した。得られた成績体を鉄カルボニル錯体へ導くことによりエンド二重結合を異性化して共役二重結合を構築し、次いで脱鉄カルボニル化の後、分子内でウレタン結合を形成させることにより(+)-ストレプタゾリンの最初のエナンチオ選択的全合成を達成した。
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[Publications] 山田博也,青柳榮,樹林千尋: "Stereoselective Total Syntesis of Natural (+)-Streptazolin via a Palladium-Catalyzed Enyne Bicyclization Approach" Journal of the American Chemical Society. 118. 1054-1059 (1996)