1996 Fiscal Year Annual Research Report
真核生物液胞型ATPaseの多様性と生理機能の研究:動物細胞における遺伝子スーパーファミリーの検証と遺伝情報ならびに機能の破壊による生理作用の解析
Project/Area Number |
07672360
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
能見 貴人 岡山大学, 工学部, 助教授 (90189374)
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Keywords | 液胞型ATPase / プロトンポンプ / H^+-ATPase / 遺伝子ノックアウト / パピローマウイルス |
Research Abstract |
1.BPV-E5発現プラスミドをラット繊維芽細胞株EL2に導入し、安定形質転換株を樹立した。この株では、顕著な形態変化は認められなかったが、軟寒天中でのコロニー形成および増殖飽和密度の上昇が認められ、リソソーム内pHも上昇していた。されにES2株で液胞型ATPase・プロテオリピッドサブユニットのアンチセンスRNAを発現させたところ、E5による形質転換株と同様の増殖飽和密度の上昇が認められた。これらの結果から、E5による形質転換には液胞型ATPaseの機能低下によるオルガネラの酸性化阻害が原因の一つをなしていると推定された。一方、EL2株にE5、プロテオリピッドおよびPDGF-Rを様々な組み合わせで導入したところ、3者を同時に導入した時にのみトランスフォーメーションが強く誘導されることを見い出した。したがって、E5による形質転換にはPRGF-Rからのシグナル伝達系が活性化されることも重要な働きを担っていると結論される。 2.E5発現プラスミドをマウス受精卵にマイクロインジェクションし、E5を恒常的に産生するトランスジェニックマウスを作製した。3系統のトランスジェニックマウスが樹立され、そのうちの1系統のマウスでは、白血病の発症が認められた。 3.液胞型ATPase・プロテオリピッド遺伝子を破壊したノックアウトマウスを作製することを目指し以下の研究を行った。マウスゲノムライブラリーよりプロテオリピッド遺伝子クローンを分離した。一次構造の解析から、3つのエクソンよりなる遺伝子の全構造を明らかにした。また、あわせて2つの偽遺伝子を見い出しその構造を決定した。遺伝子構造をもとにターゲッティングベクターを作製し、マウスES細胞に導入し、6株の相同組換体を分離した。得られたヘテロノックアウトES細胞は正常に増殖し、分化能力も維持していた。これら組み換えES細胞をマウス8細胞期胚にマイクロインジェクションし、ES細胞由来キメラマウスを分離した。さらに、キメラマウスの交配により、ES細胞由来のF1ヘテロノックアウトマウスを分離した。ヘテロノックアウトマウスは野性型とほぼ同等の生育を示している。今後これらのマウスをもとに、F2ホモノックアウトマウスを作製する。
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[Publications] Takato Noumi: "pH-dependent growth retardation by enhancement of a Na^+/H^+ antiporter activity of Escherichia coli: An application to isolation of antiporter defective mutants" J.Bacteriol.(印刷中). (1997)
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[Publications] Takato Noumi: "Identification and characterization of functional residues in a Na^+/H^+ antiporter (NhaA) from Escherichia coli by random mutational analysis" J.Biol.Chem.(印刷中). (1997)
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[Publications] Chie Moritani: "Interactions of the F_1-ATPase subunits from Escherichia coli detected by the yeast two-hybrid system" Biochim.Biophys.Acta. 1274. 67-72 (1996)