1996 Fiscal Year Annual Research Report
新型CYP2B subfamily P450の機能と誘導剤構造-誘導活性相関
Project/Area Number |
07672365
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 九州大学, 薬学部, 助教授 (40142351)
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Keywords | チトクロームP450 / CYP2Bサブファミリー / Strychnos alkaloid / フェノベルビタール / ハムスター / モルモット / ラット / 高毒性植物成分 |
Research Abstract |
本研究は、CYP2B1/2およびそれらの先祖型であるCYP2B3の各種高毒性植物成分による誘導性を指標にCYP2B P450の存在理由を“動物-植物闘争説"から説明すべく検討したものである。本研究で得られた知見を要約して記す。 1)BR処理したハムスター、マウスおよびモルモットでは、CYP2B subfamily P450の誘導は認められなかった。従って、BR処理によるCYP2B3の誘導はラットに特異的であることが示唆された。 2)ハムスターでは、BR処理によりCYP3A subfamilyの増加が認められた。これはPB処理によっては観察されず、2つの誘導剤で違いがあることが明らかになった。一方、モルモットでは、BR処理によりCYP2C subfamilyの誘導が示唆された。 3)高毒性植物成分12種による誘導を調べた結果、cocaineに弱いCYP2B1/2誘導能が認められるのみであった。一方、ST/BRと部分的に類似する構造を持つ化合物は弱いながらCYP2B3の誘導が認められた。 4)以上の結果より、STおよびBRによる非PB型の誘導はラットに特異的であり、またこの誘導の惹起はこれら2種の化合物の構造に帰因することが強く示唆された。 本研究の結果、CYP2B subfamilyの誘導は極く限られた植物毒によってのみ引き起こされ、また使用する動物によって大きく結果が異なることが示された。従って、CYP2B subfamilyの存在理由や誘導性を、動物-植物闘争の観点のみから説明することは無理があると考えられた。しかし、CYP2B以外のsubfamilyにも目を向けると、ラット以外の動物やST/BR以外の植物毒によってその発現量が増加するものが存在した。この事実は、薬物代謝型P450全般に視野を広げた場合、動物-植物闘争が一定の役割を果たした可能性を示すものと考えられた。
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