1995 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分化に伴うヒトチミジル酸合成酵素(TS)遺伝子の発現抑制の分子機構
Project/Area Number |
07672371
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
竹石 桂一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (90012608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 信之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70209287)
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Keywords | 細胞分化 / HL-60細胞 / レチノイン酸 / チミジル酸合成酵素 / CDKインヒビター / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
ヒト前骨髄救性白血病細胞(HL-60)はレチノイン酸処理により、顆粒球に分化する。この細胞分化に伴って細胞増殖は停止すると共に、細胞増殖必須遺伝子の発現が抑制される。本研究においては、その発現抑制の分子機構を明らかにするため、まずこの細胞分化の実験系において、代表的な細胞増殖必須遺伝子であるヒトチミジル酸合成酵素(TS)遺伝子の発源がmRNAのレベルで抑制されることを確認した。次に、最近見出された各種のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)インヒビターのうち、代表的なp21(Sdi1/Cip1/Waf1)、p57(Kip2)及びp61(INK4/Mts1)について、この細胞分化の過程におけるそれらCDKインヒビターmRNAの発現量の変動をノーザンブロット法で解析した。その結果、調べたCDKインヒビターのうちp21のmRNA発現量のみがTS mRNAの発現量と逆の相関を示した。しかし、p57とp16の場合には発現量が非常に低いので、さらにRT-PCR法による解析・確認が必要であり、その点を新たにp27(Kip1)も含めて現在検討中である。 一方、細胞分化に伴うTS遺伝子の発現抑制における特定のCDKインヒビター分子種の関与を明確に示す目的で、発現ベクターに組み込んだアンチセンスCDKインヒビターcDNAをもつHL-60細胞の形質転換株の作製を試みた。そのためにまず、コントロールとしてβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を含む発現プラスミドを、トランスフェリンフェクション法でHL-60細胞にトランスフェクトする条件の検討を行った結果、この方法による遺伝子の移入・発現が確認された。現在、形質転換株の選択の条件について検討中である。この形質転換細胞を得ることは、細胞分化に伴う細胞増殖必須遺伝子の発現抑制の分子機構、特にCDKインヒビターの関与・役割を明らかにする上で重要である。
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[Publications] Nobuyuki Horie: "Functional analysis and DNA polymorphism of the tandemly repeated sequences in the 5'-terminal regulatory region of the human gene for thymidylate synthase" Cell Structure and Function. 20. 191-197 (1995)
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[Publications] Nobuyuki Horie: "Functional structure of the promoter region of the human thymidylate synthase gene and nuclear factors that regulate the expression of the gene." Nucleic Acids Symp.Series No.34. 77-78 (1995)
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[Publications] 池原森男 他(監訳): "動植物の遺伝子工学(S.M.Kingsman & A.J.Kingsman著)" 廣川書店, 597 (1995)