1995 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスPおよびダイノルフィンの脊髄疼痛伝達・制御機構における役割と相互作用に関する研究
Project/Area Number |
07672374
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
丹野 孝一 東北薬科大学, 薬学部・薬理学, 助手 (20207260)
|
Keywords | ダイノルフィンA / ダイノルフィンB / ペプチダーゼ阻害剤 / ダイノルフィン変換酸素 / ホルマリン試験 |
Research Abstract |
内因性オピオイドペプチドであるダイノルフィンA(DynA)およびダイノルフィンB(DynB)を脊髄クモ膜下腔内に投与した際の侵害刺激抑制作用に対する各種ペプチダーゼ阻害剤の効果についてマウス・ホルマリン試験を用いて検討した。その結果、DynA(0.5-2.0nmol)およびDynB(2.0-8.0nmol)は0.5%ホルマリン液足蹠内投与によって誘導されるlicking行動をいずれも用量依存的かつ有意に抑制した。2nmolのDynAおよび8nmolのDynBの侵害刺激抑制作用は、それぞれ投与後90分および60分には完全に消失したが、システインプロテアーゼ阻害剤であるp-ヒドロキシメルクリ安息香酸およびエンドペプチダーゼ24.11阻害剤であるホスホラミドンは、いずれもDynAおよびDynBの作用持続時間を有意に延長した。しかしながら、セリンプロテアーゼ阻害剤のフェニルメタンスルホニルフルオリド、アミノペプチダーゼ阻害剤のベスタチンおよびアンジオテンシン変換酸素阻害剤のカプトプリルは、DynAおよびDynBの作用に対し無影響であった。ヒトおよびウシの脊髄よりDynAやDynBをロイシンエンケファリン(Leu-Enk)およびLeu-Enk-Arg^6に代謝するDyn変換酸素(DCE)が見出され、この酸素の本質はシステインプロテアーゼであることが明らかにされているが、Leu-EnkおよびLeu-Enk-Arg^6はいずれも10nmolの高用量においても侵害刺激抑制作用を示さなかった。しかしながら、Leu-Enk-Arg^6はホスホラミドンとの併用により有意な侵害刺激抑制作用を示した。 以上の結果から、DynAおよびDynBはDCEによってLeu-EnkおよびLeu-Enk-Arg^6に代謝され、さらにLeu-Enk-Arg^6はエンドペプチダーゼ24.11によって代謝され侵害刺激抑制作用を消失することが示唆された。 なお、上記に示した結果は、現在European Journal of Pharmacologyへ投稿中である。
|