1996 Fiscal Year Annual Research Report
酸素障害により生体膜に生成されるリン脂質ヒドロペルオキシドの代謝機構の解明
Project/Area Number |
07672376
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中川 靖一 北里大学, 薬学部, 教授 (00119603)
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Keywords | 酸化ストレス / 生成膜 / 過酸化脂質 / 酸化型リン脂質 / アルデヒド型リン脂質 / 老化 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、アゾ色素であるAAPHとキサンチン-キサンチンオキシダーゼ(XO/XOD)系の過酸化反応による赤血球膜からの過酸化脂質の生成について定量的な検討を行った。どちらの過酸化反応においても1時間では約30nmoleのコリン型リン脂質(CGP)の減少が見られた。しかし、1次過酸化物であるヒドロペルオキシドはAAPH系で6nmole、XO/XOD系ではほとんど見られなかった。2次過酸化生成物であるアルデヒド型リン脂質はAAPH系では約20nmole、XO/XODでは7nmole程度であった。AAPH系では過酸化によるCGPの減少は酸化型リン脂質として変化したが、XO/XOD系では酸化型リン脂質の生成はほとんど見られず、その多くは遊離型のアルデヒドとなり、膜リン脂質は強い分解が見られた。 老化による酸化型リン脂質の変動について、3週令、60週令ラットの脳、心臓、肝臓、腎臓について調べた。TBARSはいずれの臓器においても有意に増加していたが、脳、心臓で特に顕著であった。リン脂質ヒドロペルオキシドは脳で、約8倍、腎臓で3倍、心臓で2倍高い値を示した。アルデヒド型リン脂質の同様にいずれの臓器においても顕著に高い値を示しており、老化とともに酸化型リン脂質の蓄積が見られた。 以上の結果より、生体膜レベル、および生体レベルにおいて、生体膜リン脂質の酸化2次生成物であるアルデヒド型リン脂質が生成することを初めて明らかにした。
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