1995 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症治療薬の開発-新規化合物-KCA-098の骨代謝に対する作用
Project/Area Number |
07672385
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川島 光太郎 帝京大学, 薬学部, 助教授 (20124993)
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Keywords | 骨粗鬆症治療薬 / 骨芽細胞 / アルカリホスファターゼ / オステルカルシン / TRAP(+)MNC |
Research Abstract |
卵胞ホルモンは骨粗鬆症治療薬として繁用されているが、本来の卵胞ホルモン作用による副作用も報告されている。KCA-098は植物由来の卵胞ホルモンであるクメステロールの類縁体で、卵胞ホルモン活性は全くもたず、骨組織の器官培養において骨形成を促進すると同時に骨吸収を抑制し、総合的に骨形成を促進するユニークな物質である。平成7年度は、KCA-098の骨組織に対する作用をより詳細に明らかにするために、骨形成を担当する骨芽細胞、ならびに骨吸収を担当する破骨細胞に対する直接作用を細胞培養を用いて明らかにすることを試みた。 その結果、KCA-098は骨芽細胞の代表的な分化機能であるアルカリホスファターゼ活性、コラーゲン合成の増加をもたらすこと、また破骨細胞の形成を抑制することなどが明らかとなった。したがって、KCA-098は器官レベルのみならず細胞レベルでも骨形成促進作用ならびに骨吸収抑制作用であることが明らかとなり、ほぼ期待どうりの結果を得ることができた。しかし、骨芽細胞の特徴的な産物であり、したがって分化機能の最も重要な指標と考えられているオステオカルシンの合成は逆に抑制した。現在までオステオカルシンは骨形成に何らかの役割を演じていると考えられてきたが、骨形成を促進する薬物であるKCA-098によりその合成が抑制されたことは、オステオカルシンが骨形成以外の代謝経路に影響を与えている可能性がある。オステオカルシンは骨吸収を促進するともいわれており、KCA-098の骨吸収抑制作用の一部はオステオカルシンの合成抑制を介して発現しているのかも知れない。まだその役割の明確になっていないオステルカルシンの生理的意義の解明についてKCA-098は有効な手段を与えるかも知れない。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kohraro Kawashima: "Effect of KCA-098 on the function of osteobalast-like cells and the formation of TRAP-positive multinucleated cells in a mouse bone marrow cell population" Biochemical Pharmacology. 51. 133-139 (1996)
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[Publications] Naoyuki Tsutsumi: "A comparative study on the inhibitory effects of 3, 9-bis(N, N-dimetylcarba moyloxy)-5H-benzofuro[3, 2-c] quinoline-6-one(KCA-098) and calcitonin on bone resorption in organ culture" Oyo Yakuri/Pharmacometrics. 50. 79-85 (1995)