1996 Fiscal Year Annual Research Report
リポソームによるマウス腹腔マクロファージの活性化機構の解明
Project/Area Number |
07672389
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
新槇 幸彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90138959)
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Keywords | リポソーム / マクロファージ / B細胞 / α_2-マクログロブリン / マンノースレセプター / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
リポソームはDDSのキャリアーとしてのみならず免疫賦活剤としても注目されている.本研究では免疫系の主要な細胞の一つであるマクロファージの活性化におよぼすリポソームの影響を,マクロファージの重要な機能の一つであるFcγレセプターを介した異物貧食能を指標に検討を加え,その活性化機構を以下のように明らかにした.(1)リポソームは直接マクロファージに作用してFcγレセプターを介した異物貧食能を賦活化することはなかった.(2)リポソームはB細胞抗原レセプターであるsIgMを介してB細胞に作用することでsIgMに会合してB細胞膜に存在するgalactosidaseおよびN-acetylglucosaminidaseを活性化する.(3)これらグリコシダーゼにより血清糖タンパクα2-macroglobulin(α2M)の糖鎖が修飾を受け,マンノース残基をその糖鎖末端に露出したmodified α2Mが生成する。(4)modified α2Mのマクロファージ細胞表面のマンノースレセプターへの結合により,Fcγレセプターの生合成を亢進し,Fcγレセプターを介した異物貧食能を活性化する機構を明らかにした.(5)modified α2Mのマンノースレセプターへの結合からFcγレセプターの生合成亢進に至る過程,すなわち細胞内情報伝達にチロシンキナーゼが深く係わっていることを明らかにした. このように,マクロファージの主要な機能の一つであるFcγレセプターを介した異物貧食能をリポソームが賦活化することは,リポソームの応用に新たな道を開くものであり,その賦活性機構をほぼ明らかにできたことは意義深いと考える.また,マンノースレセプターが細胞内シグナル伝達に深く関わっているチロシンキナーゼと機能的に会合していたという知見は,レクチンのもつ機能に新たな視点を加える結果であり,極めて意義深いものと考える.
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[Publications] M.Murai et al.: "Modification of α2-macroglobulin into a macrophage-acti vating factor through the action of liposome-stimulated B-cell-----." Immunology. 86. 58-63 (1995)
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[Publications] M.Murai et al.: "Identification of the serum factor requred for liposome-primed activation of mouse peritoneal macrophages." Immunology. 86. 64-70 (1995)
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[Publications] M.Murai et al.: "Contribution of mannose receptor to signal transduction in Fcγ receptor-mediated phagocytosis of mouse peritoneal macrophage--" J.Leukocyte Biology. 57. 687-691 (1995)
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[Publications] M.Murai et al.: "α2-Macroglobulin stimulation of protein tyrosene phosphorylation in macrophages via the mannose receptor for Fcγ receptor-----." Immunology. 89. 436-441 (1996)