1995 Fiscal Year Annual Research Report
神経毒性を有する抗精神病由来カチオン性代謝物生成に関与する薬物代謝酵素の関与
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07672402
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
五十嵐 一雄 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (80098467)
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Keywords | ハロペリドール / 薬物代謝酵素 / 肝 / 神経毒性代謝物 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
ドーパミン受容体遮断作用をもつハロペリドールはその活性代謝物として、神経毒性を有するMPP^+と類似化学構造をもつピリジニウム代謝物HPP^+に変換される。生体内でのHPP^+の生成は、ハロペリドールによる神経毒性発現機構を解明するために重要な意義をもっている。本年度は、この活性代謝物HPP^+の生成反応に関与する動物肝における薬物代謝酵素系について検討した。まず動物肝における活性代謝物HPP^+の生成活性の性差および誘導についてを調べた。オスおよびメスラット肝ミクロソームを用いて比較した結果、オスにおける生成活性がメスの約7倍と有意に高く、またこの活性はP450誘導剤フェノバルビタールやデキサメタゾン前投与により有意に誘導される事を明らかにした。次に各種P450分子種に関連する基質や阻害剤によるHPP^+の生成活性の抑制効果について検討した。その結果、CYP3Aの基質であるニフェヂピンやCYP3Aの阻害剤であるケトコナゾールにより有意に抑制された。また、この活性抑制は、CYP3A2分子種に対する特異抗体により用量依存的な効果が認められた。この特異抗体による抑制実験の結果、得られたCYP3A2分子種の関与をさらに確かめる目的で、ラット肝精製CYP3A2分子種を用いた再構成系による実験を行った。その結果、CYP3A2精製酵素に3種のリン脂質、NADPH-P450還元酵素およびb5を加えた系により、肝ミクロソームによる生成活性に近似したHPP^+の生成活性を発現させる事が出来た。以上の結果より、動物肝によるハロペリドールの活性代謝物HPP^+の生成反応に関与する薬物代謝酵素として、CYP3A2を同定した。本研究で、肝におけるカチオン性代謝物HPP^+の生成に関与する薬物代謝酵素を明らかにしたが、今後ハロペリドールによる神経毒性発現機構を解明する上で重要な脳組織におけるカチオン性代謝物HPP^+の生成反応の検討が必要と思われる。
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Research Products
(1 results)