1995 Fiscal Year Annual Research Report
短鎖脂肪酸の誘導するアルカリ性ホスファターゼの膜結合様式の解析
Project/Area Number |
07672403
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
中林 利克 武庫川女子大学, 薬学部, 助教授 (30128665)
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / アルカリ性ホスファターゼ / 膜結合様式 |
Research Abstract |
今年度に行った研究によって得られた新たな知見等の成果は以下に示す通りである。 1.入手できた約15種類のHeLa細胞について酪酸処理によるアルカリ性ホスファターゼ(ALP)の誘導能を比較検討した結果、HeLa原株に最も近い性質を持つHeLa 229細胞で特に高いことが判明した。また染色体数が最も少ない株であるHeLa MR細胞では酪酸処理を行わなくてもALP比活性が非常に高いことを見いだした。これらの細胞はALP誘導機構制御の研究に有用であると考えられる。HeLa 229細胞では酪酸処理でその増殖がG_1/G_0期で特異的に停止することをセルソーターを用いた実験により確認した。次に酪酸と同様にヒストンデアセチラーゼを特異的に阻害し細胞増殖を停止させるトリコスタチンAによるALP誘導能について検討したが、有意な増加は認められなかった。さらにインシュリンなどの増殖因子もALP比活性が最大で数倍上昇する程度であった。 2. HeLa 229細胞で酪酸により誘導されるALPは阻害剤に対する挙動より胎盤型であることが判明した。現在そのプローブ調製が終了し、酪酸処理したHeLa 229細胞のALPのm-RNAレベルについて検討中である。 3.酪酸処理で誘導されホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼCに感受性を持たないALPを精製するための出発材料である細胞膜画分をTwo Phase Polymer法を用いて調製する方法を、今年度購入した多本架低速遠心機を用いて確立した。現在得られた細胞膜画分から各種カラムクロマトグラフィーによりALPを分離精製する方法を検討中である。
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