1996 Fiscal Year Annual Research Report
短鎖脂肪酸の誘導するアルカリ性ホスファターゼの膜結合様式の解析
Project/Area Number |
07672403
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
中林 利克 武庫川女子大学, 薬学部, 助教授 (30128665)
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Keywords | 短鎖脂肪酸 / アルカリ性ホスファターゼ / 膜結合様式 |
Research Abstract |
今年度に行った研究によって得られた新たな知見等の成果は以下に示す通りである。 (1)酪酸などの薬剤によるALPの誘導には、質的変化説が提唱されている。酪酸によるALP誘導能が高いHeLa229細胞のALPは胎盤型であることが判明した。そこでALPに対する抗体を用い、酪酸で処理したHeLa229細胞と未処理の細胞について細胞表層に存在するALP量をセルソーターを用いた実験により解析した。その結果HeLa229細胞のALPは経時的に細胞表層に出現することが判明した。さらに培地より酪酸を除くと細胞表層に出現するALPは減少しコントロールレベルと同じになった。また転写や蛋白合成を阻害するα-アマニチン、アクチノマイシンDやシクロヘキシミドを共存させると酪酸によるALP活性の上昇は阻害された。以上の事実はALPの誘導が転写レベルにおける変化であり、量的変化であることを示唆している。 (2)酪酸で誘導されるALPにホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PI-PLC)やグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼD(GPI-PLD)を作用させ温度依存性二層分離法で分離した。酪酸未処理の細胞では約50〜60%、酪酸処理の細胞では10〜30%のALPが可溶化された。以上の結果はPI-PLCやGPI-PLDに対して感受性の異なるALPがHeLa229細胞には存在していることを示唆している。 (3)腎臓及び小腸型のALPを発現している培養細胞や組織にPI-PLCやGPI-PLDを作用させると、ALPは完全に可溶化された。 以上の事実は胎盤型ALPを発現しているHeLa229細胞では、腎臓及び小腸型のALPを発現している培養細胞や組織に比較して、ALPの膜結合様式が多様であることを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Chisako Itami: "Release of ectoenzymes from small intestine brush border membranes of mice by phospholipases." Biosci.Biotech.Biochem.61(2). 336-340 (1997)
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[Publications] Chisako Itami: "Growth inhibition,morphological change and ectoenzyme release of LLC-PK1 cells by phosphatidylinositol-specific phospholipase C of Bacillus thuringiensis." Biosci.Biotech.Biochem.(印刷中).