1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07672409
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | 国立衛生試験所 |
Principal Investigator |
手島 玲子 国立衛生試験所, 機能生化学部, 研究員 (50132882)
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Keywords | IgE受容体 / 遺伝子変換体 / 好塩基球細胞 / 情報伝達 / CD63抗原 |
Research Abstract |
平成7年度のアレルギー担当細胞である好塩基球細胞の高親和性IgE受容体遺伝子変換体の確立ならびに変換体を用いる情報伝達に関する研究から、下記の知見が得られた。 (1)イムノグロブリンE(IgE)受容体の遺伝子変換体の作製:蛋白質チロシンリン酸化反応の基質になるラットIgE受容体遺伝子のβ,γ鎖のITAM (Immuno-receptor tyrosine activation motif)を含む細胞内領域をコードする部位の改変を行った。次いで、IgE受容体を持たないマウスマスト(P815)細胞への上記受容体遺伝子の導入を行い、無欠失のIgE受容体α,β,γ鎖を導入したもの(WT),α,β,γ鎖のうちβ鎖のみまたはγ鎖のみのC末側の細胞内領域を欠失したもの(βcdまたはγcd)を導入した安定なIgE受容体発現細胞の選択に成功した。(2)初期シグナルの解析:WTでは,抗原刺激に伴うIgE受容体の会合、カルシウム応答、蛋白質チロシンリン酸化反応が観察されたが、IgE受容体の細胞内領域を改変した遺伝子を導入した細胞では、抗原刺激に伴う情報伝達の初期シグナルの中で、IgE受容体の会合、受容体(β、γ鎖)及び受容体結合蛋白質(72K,42K蛋白質)のチロシンのリン酸化反応、及び細胞内カルシウム濃度上昇が抑制され、IgE受容体のβ,γ鎖の細胞内領域が受容体を介する情報伝達に大きく関与することが判明した。阻害の程度としては、β鎖の細胞内欠失では、初期シグナルは完全に阻害され、γ鎖の細胞内欠失では、初期シグナルの抑制は部分的であった。一方、小胞体Ca^<2+>-ATPase阻害剤DTBHQのカルシウム応答には、受容体の改変は無影響であった。(3)脱顆粒過程の解析:上記変換体を用いた脱顆粒反応について顆粒膜抗原(CD63)の細胞膜上への表現を指標に単一細胞レベルでの解析を行ったところ、β,γ鎖の細胞内領域の欠失により、CD63抗原の細胞膜上への表現が低減化する、すなわち、脱顆粒反応も抑制されているという結果が得られた。また、CD63抗原膜上への表現に、細胞骨格系蛋白質の関与する可能性を示唆するデータも得られた。
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[Publications] 手島玲子: "FcεR1のシグナル伝達" アレルギー科. 1. 177-184 (1996)
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[Publications] Tadahide Furuno: "Surface expression of CD63 antigen (AD1 antigen) in P815 mastocytoma Cells by transfected IgE receptors" Biochem. Biophys. Res. Commun.(1996)