1997 Fiscal Year Annual Research Report
耳鼻科領域における悪性疾患の入院医療評価に関する研究
Project/Area Number |
07672445
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Research Institution | Nihon University, School of Medicine |
Principal Investigator |
梅里 良正 日本大学, 医学部, 助教授 (60213485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 亮紀 日本大学, 医学部, 教授 (00096801)
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Keywords | 頭頸部腫瘍 / 医療評価 / 入院医療費 |
Research Abstract |
過去15年間に遡り日大板橋病院耳鼻咽喉科ならびに気管食道科で入院加療した悪性疾患のデーターベースを作製した。病院会計データより各患者の各月毎の入院費の抽出を行うプログラムを作製した。現実には、1988年より会計ファイルが同一となっており、それ以降のデータのみ使用できた。 まず下咽頭癌例について抽出し、会計シートより転記したデータを使用した解析結果は第96回日本耳鼻咽喉科学会総会にて発表した。次いで、コンピューターを使用して抽出した医療費について、最近9年間の下咽頭癌30例について検討した。保険点数の改訂が2年ごとにあり、単純な比較は困難であり、形成外科による手術が導入され手術内容が大きく変更された1992年を境として、総医療費を比較した。手術点数は後半では約2倍となっていたが、入院期間は後半の方が短くなっており、総医療費はほぼ同じであった。手術内容の進歩が入院期間、総医療費を抑制していることが明かとなった。実際には、後半では患者のQOLも向上している。総入院費中に占める割合は、入院費が33%と最も多く、注射代23%、手術代15%、検査9%となっており、予想されたよりも照射療法の割合が低かった以外は、いままで言われてきた医療費構成と大差はなかった。また治療費は入院費だけではなく放射線治療などの通院治療もあり、外来医療費を加えないと治療全体にかかった費用の算定に誤差がでることが判明したが、その点をどうするかについては今回は間に合わず、今後の検討課題として残った。予後については、医療費よりは、病期、治療内容が大きく影響していた。医療の内容に大差はなく、一施設のみで予後も含めた医療評価は困難であることが判明した。他施設のデータを参照することも検討したが、医療内容の詳細が不明であり、今回の検討からは除外した。 以上、今回の検討からは医療の進歩(形成外科という分野の導入)により高騰している項目があるにも関わらず総医療費は抑制できること、同時にQOLの向上、入院期間の短縮も実現出来ることが判明した。
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