1996 Fiscal Year Annual Research Report
尿中フィブロネクチン代謝物の腫瘍マーカーとしての意義づけ
Project/Area Number |
07672493
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Research Institution | Fukushima Medical College |
Principal Investigator |
長井 俊彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90180447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 浩 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90045683)
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Keywords | フィブロネクチン / 尿 / 接着分子 / がん / イムノブロッティング / 化学発光分析 / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
1.分析法の確立-尿中フィブロネクチン(FN)代謝物を高感度に分析する方法を確立した。 種々泳動条件、試薬、検出条件を検討し、原尿数十μlを検体として、SDS-電気泳動、イッムノブロッティングさらに増幅化学発光検出系を適用応し、約5時間で、尿中へのFN代謝パターンが分析可能となった。最近市販されている自動泳動ブロッティング装置を利用すれば、より簡便に分析可能となると考えられる。 2.がん患者尿中のFN代謝物の分析- 健常者40例、腎疾患を伴わない肝がん20例、肺癌20例について尿中FN代謝物を分析比較した。健常者では5〜8種の代謝フラグメントが検出され、主要フラグメントについては個人差、性差を特に認めなかった。肝がん、肺がん症例のうち各7例および5例では尿中タンパク量に比して、明らかに尿中FN代謝フラグメント排泄が増加していた。特に10Kのフラグメントが著増していた。がん患者では尿中へのFN代謝物の排泄が増加することを示唆する結果であり、さらに症例を重ね検討するとともに、がん種や予後との関連についても明らかにしたい。 3.がん特異的FN代謝フラグメントの同定-5種のドメイン特異的モノクローナル抗体を用い分析した結果、検出されたフラグメントは主として細胞接着ドメイン由来のものであることが明らかとなった。この結果は細胞接着ドメイン由来の比較的高分子のフラグメント中にがん特異的フラグメントの存在する可能性を示すものであり、臨床検査診断上有意義なフラグメントの同定と特異的検出法、定量法の確立を目標とし、さらに研究を継続したい。
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[Publications] 長井俊彦: "イムノブロット化学発光検出法による尿中フィブロネクチン代謝物の分析" 日本臨床化学会東北支部会誌. 4・1. 11-16 (1995)
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[Publications] 長井俊彦: "フィブロネクチン -相乗的細胞認識機構-" 臨床病理. 44・12. 1119-1124 (1996)
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[Publications] 長井俊彦: "タンパク質化学II細胞接着タンパク質" 廣川書店, 7ページ/505 (1995)