1996 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞における葉酸拮抗剤耐性の遺伝子診断に関する研究:耐性診断に必要な耐性モデルの作製と分子機構の解明
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07672502
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
宮地 勇人 東海大学, 医学部, 助教授 (20174196)
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Keywords | 白血病細胞 / 葉酸拮抗剤 / 耐性 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では、白血病で葉酸拮抗剤耐性を遺伝子診断するために必要な耐性モデルの作製と分子機構の解明を目的とした。葉酸拮抗剤として、古典的なmethotrexate(MTX)とthymidylate synthase(TS)を阻害する葉酸拮抗剤N^<10>-propargyl-5,8-dideazafolic acid(CB3717)を用いた。還元型葉酸として、leucovorin(LV)を生理的濃度10nMで用い、酸化型葉酸pteroyl glutamic acid(PGA)と比較した。PGA供給下に作製した60倍MTX耐性CCRF-CEM細胞の耐性機構として、MTX膜輸送低下、さらに5000倍と高度耐性化した場合DHFR遺伝子発現増加と増幅がみられた。LV供給下に作製した60、140倍耐性MTX耐性CCRF-CEM細胞ではDHFR遺伝子増幅がみられた。PGAまたはLV供給下に作製した200倍CB3717耐性MOLT-3細胞では、ともにMTXとPGAの膜輸送低下がみられ、PGAで作製した耐性細胞のみTS遺伝子発現増加と増幅がみられた。MTX耐性CCRF-CEM、CB3717耐性MOLT-3いずれの細胞でもMTX膜輸送低下による耐性細胞は、新しいキナゾリンtrimetrexate(TMQ)感受性を示し耐性克服可能であった。CB3717耐性MOLT-3細胞ではLV添加によりTMQ感受性が低下したことより、細胞内還元型葉酸の欠乏が膜輸送低下による耐性細胞のTMQ感受性をもたらすと考えられた。白血病細胞の葉酸拮抗剤耐性には、葉酸拮抗剤、細胞(株)、耐性度、葉酸様式が複雑に関与することが明らかとなった。その克服には変化した耐性因子を的確に把握し、治療薬を選択する必要がある。
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[Publications] Miyachi Hayato,etal: "Amplification of the thymidylate synthase gene in an N^<10>-propargyl-5,8-dideaza folic-acid-resistant human leukemid,MOLT-3 developed in R6A,but notin leu解読不可" J.Cancer Res.Clin.Oncol. 122. 659-664 (1996)