1995 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性球状赤血球症における赤血球膜蛋白遺伝子の解析
Project/Area Number |
07672508
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
井出口 裕 福岡大学, 医学部, 助教授 (30131808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 久美子 福岡大学, 医学部, 助手 (80223759)
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Keywords | 遺伝性球状赤血球症 / Band3蛋白 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
遺伝性球状赤血球症患者(34例)の末梢血単核細胞より抽出したDNAを用い、本年度はband3蛋白遺伝子を詳細に解析した。19のエキソンを解析するためプライマーを合成し、34例の患者についてそれぞれのエキソンをPCR法にて増幅後、SSCP法にて変異の有無をスクリーニングした。異常なSSCPパターンを呈し変異の存在が疑われる領域については、検出されるたびにDNAシークエンシングによって変異を同定し、また制限酵素を用いた解析により変異の存在を確認した。その結果、現在までに10種類の新しいband3蛋白遺伝子変異を見い出した。 これらのうち6つの変異は膜ドメイン領域内にあり、その内4つの変異はBand3蛋白の膜上への発現に異常をきたし、Band3減少症を来たすものと推定された。他の2つの変異については、健常者にも同一の変異が確認され、polymorphismであると考えられた。一方、細胞質ドメイン内に認められた4つの変異については、1つはやはりpolymorphismであることが確認されたが、他の3つの変異については現在検討中であり、ankyrinやband4.2との結合異常のため細胞骨格の膜への固定に異常きたす変異であるのか、単なるpolymorphismであるのか明らかにする必要がある。 当初の計画どおり概ね順調に研究が進行しており、band3遺伝子の19のエキソンについてほぼ解析が終了している。現在までに報告のない新しい遺伝子変異を既に10種類発見しており、今後これらの異常と病態との関連性について更に詳細な検討が必要であると考えている。
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