1997 Fiscal Year Annual Research Report
不妊症女性の心理的問題の背景要因とその援助に関する研究
Project/Area Number |
07672512
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Research Institution | YAMAGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森岡 由起子 山形大学, 医学部, 助教授 (70113983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 ヒロ子 山形大学, 医学部, 教授 (50123310)
生地 新 山形大学, 医学部, 講師 (20185177)
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Keywords | 不妊症 / 心理学 / 母性看護学 / 不安 / 抑うつ / 治療上の困難 / 受容のプロセス / 個別カウンセリング |
Research Abstract |
昨年までの調査対象とは別に、146個の不妊症治療中の女性に対して、準構造化面接と精神的健康についての心理調査を行い、不妊症治療に関するストレス、治療を維持するうえでの不安や困難になっていることについて聴取した。 今回の146例は、平均年齢34.5±4.9歳(24〜43歳)で平均治療期間は3.0±2.5年であった。抑うつの指標であるSDSは、35.0±9.8でやや抑うつ傾向を認め、STAI状態不安は49.6±9.3点、STAI特性不安は48.8±9.5点とかなり高い不安を示していた。 面接で述べられた治療上困難になっていることは、経済的問題・仕事との問題(時間的問題)・家族との問題の3つに分類された。経済的問題を感じている者は約半数いて、健康保健の自己負担が2割になったことで実質は3倍感があるというものが多かった。仕事との関係では、対象の90%が就業していたため、57.7%の者が治療を継続してゆく上での困難さを感じていた。IVF-ETでの治療を受けている者のなかには、治療のために仕事をやめた者、(10%)、パートなどの時間的に余裕のある仕事に変わった者(7%)がいた。家族との関係では、夫の理解はほぼ100%あると答えていたが、IVF-ET治療者で実家の親に治療について説明しているのは約60%、夫の両親に話していたのは半数に満たなかった。 不妊治療をしている40歳以上の妊娠率は、低下するにもかかわらず患者自身の限界設定年齢は上昇してきていて、データとしての妊娠率の低下を生じている。しかし、self help group(自助グループ)などのミーティングの提示に対しては抵抗の強い者が多く、子どもを妊娠できないことの受容のプロセスを進めるためには、個別的なカウンセリングがまず必要とされると考えられた。
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