1997 Fiscal Year Annual Research Report
母子関係確立に向けての母子相互作用を効果的に推進するための看護戦略
Project/Area Number |
07672514
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
江守 陽子 筑波大学, 社会医学系, 講師 (70114337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 澄子 三重県立看護大学, 看護学科, 学長 (80009612)
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Keywords | 母子相互作用 / 新生児 / 看護 / 抱きかた / 揺らす / 啼泣 / 反応 / 意識レベル |
Research Abstract |
母子相互作用を効果的に推進するための戦略を作成するために、養育者の行う育児行動と児の反応との関係を分析した。 平成7、8年度は児の啼泣に着目しながら、「児を抱く」、「揺り動かす」という2刺激に対する児の反応を分析し終えた。その結果、新生児は「機械的に与えられた水平方向の振動刺激」にたいしては、速やかに啼泣を止めて自らの意識状態を鎮静方向に整える様子が観察された。 また、「児を抱き上げて保持する刺激」に対しては、振動刺激と同様に児を泣き止ます十分な効果が認められ、ことに、たて抱きは、刺激直後の児の覚醒状態を急激に下げ、その後、緩やかに下降させる。すなわち、児を泣き止ますのに即効性があり、敏活な状態にする効果が認められた。 一方、横抱きは、刺激直後の児の覚醒状態は緩やかに下降し、その後(40〜80秒後)、さらに下降した。すなわち、児を泣き止ますのには即効性はないが、泣き止んだ後に入眠へと導く効果が認められた。 平成9年度は前年度までに明らかにした結果をもとに、「児を抱く」「児を揺り動かす」という刺激のうち、児に最も適切かつ有効な方法について検討し、母子相互作用を推進するための看護戦略の作成を試みた。 研究を進めていく段階で、刺激に対する児の反応が、その時点の児の意識状態によって違うことが明らかにされた。したがって、母子相互作用を効果的に推し進めるためには、まず、児の意識状態に着目する必要があり、刺激の種類や量も工夫することが重要と考えられた。 すなわち、児の啼泣を中止させる目的や敏活性を高める目的では、児の運動感覚に対する刺激が有効であり、児を眠りに導くためには児の啼泣をいったん中止させ、意識レベル鎮静方向に整えたのち、地面と水平方向に児を抱く方法が有効であるといえる。 これらの知見は、母子相互作用をより容易に導くための育児知識あるいは技術として、母親に教育する価値が大きいと言える。
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Research Products
(2 results)