1996 Fiscal Year Annual Research Report
老人ケアのエキスパートが保有する実践的知識に関する研究
Project/Area Number |
07672515
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
正木 治江 千葉大学, 看護学部, 助教授 (90190339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 美和子 千葉大学, 看護学部, 教授 (10070682)
金井 和子 千葉大学, 看護学部, 助教授 (20152770)
今村 美葉 千葉大学, 看護学部, 助手 (40282462)
田川 由香 千葉大学, 看護学部, 助手 (20272338)
湯浅 美千代 千葉大学, 看護学部, 助手 (70237494)
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Keywords | 老人看護 / ケア / エキスパートナース / 実践的知識 |
Research Abstract |
平成7年度、8年度を通して、老人保健施設、老人病院、特別養護老人ホームの10老人施設を訪問し、老人ケアに携わるエキスパートナース22名へのインタビューと実践場面の参加観察を行ない、研究データを得た。対象施設は北海道から九州までの全国の老人施設のうち、老人ケアを精力的に行っているという評価のある施設を選定した。エキスパートナースの選定にあたっては、5年以上の老人ケア経験、献身的な老人へのケア、知的融通性・柔軟性があることの基準を示した上で、各施設の看護管理者に対象ナ-スの選定を依頼した。 対象となったエキスパートナース達は各々の老人の特徴を加味した意識的なケアを行なっており、実践場面の意味付けを問うた際にそのケアの意図が説明された。エキスパート達は施設内で老人ケアのエキスパートとして認められており、同時に指導的な役割も担っていた。彼女達は老人ケアの醍醐味を語っていた。 老人ケアのエキスパート達が保育している実践的知識として、老人ケアに特徴的な課題に対するエキスパートならではの看護判断とケア内容、老人の個別性に応じた特別な配慮のあるケア、チームアプローチの中でのエキスパート性の発揮、現在の老人ケアの場でみられる問題、老人ケアとして大事にしている態度、が明らかになった。老人ケアに特徴的な課題としては、徘徊、妄想のある痴呆老人、内服拒否、骨折後のリハビリ、セルフケアへの援助、捉えにくい老人の反応をいかに捉えるか等があげられ、その課題に対してエキスパート達は専門性を発揮したアセスメントを行い、ケアを展開し、ケアの効果を実感していた。エキスパート達から得られたこれらの実戦的知識は、彼女等の試行錯誤の体験を通して獲得した知識であり、これらの結果は、未開発である老人ケアの方法論として意義ある知見であると考えられた。
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