1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者介護による家族機能の変容過程の研究-ケアリング機能の長期観察から-
Project/Area Number |
07672525
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上原 ます子 大阪大学, 医学部, 助教授 (10203473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 京子 藍野学院短期大学, 看護学科, 助教授 (30259494)
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Keywords | ケアリング / 高齢者ケア / 家族機能 |
Research Abstract |
続き高齢者家族ケアリング指標を用いて、平成6年10月から2年間に老人病院から家庭退院した高齢者の家族118名を対象に、約1ケ月後に郵送調査を実施し、71名の有効回答について退院後の変化を検討した。退院後の指標は3因子ともに、入院中に比べ有意に増加し、「情緒・行為因子」と「受容因子」は入院前とほぼ同程度、「疎外因子」は入院時と入院中の中間的な値を示した。退院後の指標への関係要因を各指標の平均得点と重回帰分析で検討した結果、「情緒・行為」と「受容」は介護満足感の高さが最も関係し、「疎外」は、介護援助者、介護ストレス、主な介護者の順に関与していた。また、福祉サービスの利用は3因子ともに関与が認められず、訪問看護のみが「情緒・行為」にやや関係していた。以上から、退院後家族ケア機能は、「情緒・行為」と「受容」は退院1ケ月後にほぼ入院前のレベルが維持され、疎外は入院中よりは高値であるが入院前よりは明らかに緩和されたされた状態であることから、入院の効果的な活用の有用性が示唆された。関係要因については、介護満足度が「情緒・行為」、「受容」に最も関係することから、介護満足感を高める支援が重要であり、訪問看護の活用は効果的と考える。「疎外」には介護負担感や介護者・介護援助者を含めた退院計画におけるマネージメントの重要性が示された。3調査全て得られたのは数例に留まり、数量的検討はできなかった。事例ごとにみると、「情緒・行為」のうち、入退院で行為的援助は大きく変動するが、情緒的援助は行為的援助の減少する入院中には返って増加して因子全体を保持している。また、「疎外」は従来からの高齢者の否定的関与が影響するものの、変動も生じやすい特性が伺える。そして「受容」は変動幅も少なく状況の影響も少ないことから、それぞれの家族の特性を反映しており、その特性に基づき他の2因子の変動要因に対する働きかけを行うことが、家族の変容を促すことが効果的と考える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 田内規子, 石井京子, 上原ます子: "老人病院入院前介護状況の経年的変化" 藍野学院紀要. 第11号. 19-28 (1998)
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[Publications] 上原ます子, 多田羅浩三: "高齢者への家族ケア機能の変化と関係要因-入院から退院後への変化" 第56回日本公衆衛生学会総会抄録集. 44-10. 936- (1997)