1996 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者向け住宅・居住施設の計画、運営に関する基礎的研究-一民間有料老人ホームにおける15年間、4次にわたる入居者調査結果から-
Project/Area Number |
07680015
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 助教授 (20136154)
|
Keywords | 有料老人ホーム / 縦断的変化 / 横断的変化 / 準縦断的変化 / 共用施設 / 専用住戸 |
Research Abstract |
一つの民間有料老人ホームにおいて開設後15年間に4回の入居者調査を実施することによって、293世帯の入退居動向を明らかにした。主たる知見は以下の通りである。 (1)293世帯の入居時期は過半数が開設後半年以内と集中している。そして、開設後半年以内に入居した人の入居時平均年齢は、69.9歳と若い。しかし、開設後年数を経るごとに、入居時年齢は高齢化する。(2)293世帯の内、15年半後の4次調査までに89世帯が退居した。この内、転出の場合(28)退居までの期間が比較的短いと同時に平均年齢は69.5歳と若い。それに対して、死亡(42)の場合の平均年齢は78.5歳である。継続入居の204世帯の内、夫婦二人世帯では片方が死亡したケースも少なくない。 以上の入退居動向をもとに、調査の回答者について、1〜4次調査まで入居を継続し、かつ、各次の調査にすべて回答している者を縦断的変化のグループ、すべての調査に回答しているわけではないが1〜4次調査まで入居を継続している者を準縦断的変化のグループ、そして、各次の調査回答者すべてを横断的変化のグループと分類した。そして、この3通りのグループにおける生活の変化を明らかにすることによって、有料老人ホームにおける入居者の生活の変化を把握することにした。調査した生活の各場面は、健康状態・通院、外出行動、趣味、食堂や大浴室の利用状況とその他の共用施設の利用状況、子ども(家族)との交流状況、そして、専用住戸内での生活の場についてである。 以上の結果、高齢者向け住宅・居住施設の立地条件、必要な共用施設とそのあり方、専用住戸の計画等について多くの示唆が得られた。
|