1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680020
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
今村 幸生 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (10031717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 美貴 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (80226654)
横山 祐子 (加茂 祐子) 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (80204642)
清水 哲郎 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40132344)
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Keywords | 中高年者 / 就業 / 雇用 / 年金制度 / 勤労意欲 / 勤務形態 / 生活者 / 余暇活動 |
Research Abstract |
本研究の課題に沿って、既存統計・調査資料をもとに、中高年者の就業の実態について分析・検討した結果の要点を以下に列挙する。 わが国の50・60歳代の就業意欲は高く、労働省の調査でも"就業者"と"不就業者のうちの就業希望者"を合わせると75%に及ぶ。就業の動機としては、経済的理由をあげる者が最も多く、なかでも経済的緊急度の高い「自分と家族の生活維持のため」を理由とする者は60〜64歳男性就業者の70%に及んでおり、所得機会の確保という意味での高齢者の雇用対策の重要性を裏付ける結果となっている。ただし、非就業者を含めた調査(総理府)によれば、「人は何のために働くことが大切だと思いますか?」という問いに対し「お金を得る」ためと答えた者は60〜64歳で男女とも半数をきるが、これは年金制度の普及によるためかと思われる。また、同じ問いに対し、「社会の一員として勤めを果たす」「自分の才能や能力を発揮する」ためと答えた者の割合は年齢が高くなるほど増加し60〜64歳でピークを示す。高齢者の就業環境については、雇用機会の絶対数の不足もさることながら、「就業を希望する不就業者が就業できない理由」にもみられるように、高い勤労意欲にもかかわらず、これを活かせないような雇用内容(勤務形態や勤務内容)にも問題があると思われる。このうち勤務形態についていえば、60歳を境に短時間勤務の割合が増加し、また不就業者に希望する勤務形態を尋ねた結果をみても60歳を境に短時間勤務を希望する割合が増加するなど、勤務時間の選択に関して柔軟性が求められている。最後に、自由時間活動と就業との関わりについてみると、積極的余暇活動への取り組みには男女間で差異があり、男性の場合、概して有業の場合のほうが余暇活動にも積極的で、無業になると個人差が拡大する傾向がみられる。生活者の視点から、中高年者の就業について考える場合、職業人生活の変化を見据えた、自由時間増加に対処し得る余暇活動のための能力開発という点にも顧慮する必要があると思われる。
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