Research Abstract |
骨粗鬆症の予防には,成長期からの食生活やライフスタイルが重要であることが指摘されている.我々は,成長期ラットや成熟ラットを用いて,エネルギー制限下では,タンパク質やカルシウムが充分量含まれている食事であっても,骨量や骨強度が減少することを報告した.今回は骨塩代謝に及ぼす摂取タンパクレベルの影響を検討した.5週齢SD系雄ラット35匹を6群に分けた.1群は,解剖後大腿骨と上腕骨を採取し,レオロメーターMAXRX-1600を用いて,実験食開始前の骨強度を測定した.5%群には5%カゼイン食を自由に摂取させ,10%群,20%群,30%群にはそれぞれのレベルのカゼイン食を5%群と同量となるよう1月間投与した.大腿骨の灰分とカルシウム濃度は,5%群に比較し他の群で有意に低値を示したが,骨中灰分量,カルシウム量は,体重増加量,除脂肪重量,骨重量,カルシウムおよびリンのみかけの吸収率と蓄積率とともに,5%群より他の群で有意に高くなり,骨強度も同様な傾向を示した.20%群と30%群の間にはほとんど差が認められなかった.大腿骨および上腕骨の骨強度は,灰分やカルシウム,リン濃度とは相関が認められず,これらの骨塩量と有意な相関性が認められた.エネルギー,カルシウムの摂取量に差がなくても,タンパクレベルが低い食事では,カルシウム,リン,マグネシウムの腸管吸収率や体内蓄積率が低下し,骨成長や骨強度が低値を示した.骨粗鬆症予防のためには,成長期の頃のタンパク質栄養がいかに重要であるかを示した.
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