1996 Fiscal Year Annual Research Report
豆種子の吸水過程におけるアリューロン層の新規なタンパク質の機能の解明
Project/Area Number |
07680055
|
Research Institution | MUKOGAWA WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福田 滿 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90098517)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊沢 功 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90085233)
|
Keywords | 高グリシンタンパク質 / アリューロン層 / 豆類種子 / 吸水 / 細胞壁 / カスパリ-線 / 子葉の亀裂崩壊 / 成分の漏出 |
Research Abstract |
前年度、ダイズのアリューロン層には種子の吸水障害(吸水時の亀裂崩壊)を抑制する機能があり、高グリシンタンパク質(GRP)が含まれることを報告した。当該年度ではダイズアリューロン層から分離したカスパリ-線様組織の高グリシンタンパク質(GRP)を調べた。 1.ダイズアリューロン層からカスパリ-線様組織の分離 アリューロン層をペクチナーゼ、セルラーゼで消化したところ、一部の細胞壁が消化されずに残存して網状構造を示し、紫外線照射で蛍光発色したので、カスパリ-線に類似した性質からカスパリ-線様組織と名付けた。カスパリ-線は水の透過を阻止するので、カスパリ-線様組織もアリューロン層の吸水抑制作用に関連すると推定した。 2.カスパリ-線様組織中のGRPの結合状態 カスパリ-線様組織のタンパク質は多量のグリシンを含んでいたので、GRPを抽出したところ、GRPは塩溶液や界面活性剤では容易に抽出されず、0.5N NaOHによって抽出されたので、カスパリ-線様組織中のGRPは細胞壁に強く結合すると推定した。 3.カスパリ-線様組織からGRPの抽出・単離精製 カスパリ-線様組織からGRPを抽出し、ゲル濾過、イオン交換HPLC、逆相HPLCで単離精製して性質を調べたところ、GRPは分子量6.5kDaでグリシンを約69%含む新規な高グリシンポリペプチドであることが明らかになった。 以上の結果から、アリューロン層のGRPはカスパリ-線様組織の構成成分として種子の吸水障害抑制機能に関与し、ダイズ等の豆類の吸水時に重要な役割を果たすと考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 松井美預子: "ダイズ種子の吸水時におけるアリューロン層の特徴的役割" 日本農芸化学会誌. 70巻・6号. 663-669 (1996)
-
[Publications] Mitsuru Fukuda: "Purification and Characterization of a Glycine-rich Polypeptide Tightly Bound to Cell Walls from Soybean Aleurone Layers" Bioscience,Biotechnology,and Biochemistry. 61巻(未定). (1997)