Research Abstract |
1.アスコルビン酸(AsA)とその異性体であるエリソルビン酸(ErA)の同時定量法について,市販のキャピラリー電気泳動装置(CAPI-3000,大塚電子株式会社製)を用いて,フリーゾーンキャピラリー電気泳動法(FZE)により検討した. 測定条件:キャピラリー;溶融シリカ製,ポリアクリルアミドコーティング,500mm×75μm,緩衝液;10mMほう酸溶液(50mMSDS添加,pH=11.0),印加電圧;15kV,測定温度;25℃,検出器;フォトダイオードアレイ,検出波長;245および265nm. 成績:標準溶液では,移行時間(Migration time)はAsAが5.7分,ErAが6.1分で,両者は7分以内に良好に分離定量でき,また,検量線は1mg/mlの範囲で良好な直線性が得られることなどが認められた.本FZE法を用いて,数種の市販V.C飲料中のAsA濃度を測定した成績は,HPLCによる成績とよく一致することが認められた(川崎医療福祉学会誌,5(1),P.169-174,1995年). 2.血液中のAsAおよびErAの同時定量法について,上記のFZE法で試みた.すなわち,先ず,正常人の血漿にAsAおよびErAを添加し,上清分画からのAsAおよびErAの抽出方法について調べた.次いで,FZE法による血中の両者の分離定量法を試行した結果,血中のAsAおよびErAは良好に分離定量できるものと思われた.平成8年度には,この方法により食品添加物(ErA)の尿および血液による生物学的モニタリングを実施し,あわせて,尿中物質濃度の補正法等についても検討する予定である.
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