1997 Fiscal Year Annual Research Report
生命の起原説と日本の科学研究者-1930年代から1950年代まで-
Project/Area Number |
07680079
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
江上 生子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (80016493)
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Keywords | 生命の起原 / オパーリン訪日 / 日本生化学会創立30周年 |
Research Abstract |
ソ連(当時)の学者オパーリンによって提出され、アメリカの生化学者によって英訳されて普及した生命の起原説の受容と、生命の起原の問題に関連するその後の日本の科学者の反応や独自の研究について、調査することを目的とした。 特に、本年度の調査は、1955年11月に催された日本生化学会創立30周年記念に招かれたオパーリンに対する、生化学者及びその他広い科学研究者の反応について資料を掘り起こした。 これまで、科学雑誌・新聞その他、広い範囲にわたって報告されたオパーリンの当時の講演内容や、オパーリンが視察した日本の科学研究施設や大学における日本側の対応、オパーリンの受けた感想などを、一体のものとしてまとめる方向で調査を進めた。 結果として、1.大学や研究機関については、ほとんど記録が残っていないことがわかった。(ex、東京大学、名古屋大学、京都大学、農林省食糧研究所)。 2.わずかに、社内報などで、オパーリンの訪問を記したものが残ることがわかった。(ex、野田醤油、京都府立茶業研究所) 3.その他、関係者以外にはほとんど忘れられていたラジオ放送などについても、確認することができた。 4.1956年に『科学朝日』に掲載されたオパーリンによる日本訪問印象記「私の見た日本」は抄訳であるので、それの全文を翻訳し、註を付して、オパーリン日本滞在中の日本の学者、研究者との交流を全面的に明らかにした。 しかし、今年度は、オパーリンに調査の焦点がかたより、日本の研究者独自の生命の起原研究の萌芽については未調査に終った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 江上生子: "オパーリン訪日と日本の歓迎" 下記図書に含める. (発表予定).
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[Publications] 江上生子: "生命の起原とモスクワの風(仮題)" れんが書房新社, 約250 (1998)