1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680089
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
片岡 暁夫 筑波大学, 体育学系, 教授 (40015821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 良享 筑波大学, 体育学系, 助教授 (00153734)
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Keywords | 体育学 / スポーツ科学 / 分化と統合 / 理論と実践 |
Research Abstract |
旧来の体育学は教育学を親科学として発展してきた。しかし,研究対象の拡大に伴い,その研究方法も従来の教育学の範疇を越え,人文社会科学から自然科学までの専門諸科学に傾倒している。こうした体育学自体の拡大,分化傾向は研究の専門性に呼応し,個別の独立専門学会の設立を招来している。だが,個別学会のめざす理念,目的は従来の体育学のそれとは乖離しつつあり,専門性を高めればそれだけ全体像が見え難くなり,共通の理念が揺らいでいる状況が認められる。 本研究では、こうした状況を踏まえ,複合的研究領域である体育学の分化と統合の問題を,体育原理の視座からアプローチし,今後の体育学の望ましい在り方を探求しようとした。 研究課題の重要性に鑑み,研究代表者・分担者による内外の資料の渉猟,,解読の他,国内外から複数の研究協力者を仰ぎ,体育目標の分化と統合,体育授業への統合化の試み,ソマティック教育の試み,認知科学における身体論,教育論との関連における運動の科学原理といった問題にもアプローチを行った。 その結果,旧来の体育学の枠内では次世代の体育・スポーツ現象への解明要求および実践への応用は困難性を増し,その分化傾向を阻止することは不可能と判断され,新たな統合への原理が必要とされた。それへの具体的な方策は,「体育学」という概念をも包括する新しい概念の構想もしくは概念の再定義を行うこと,分化と統合の実践に向けての哲学的議論の深まりが求められること,最後に,人間機械論に基づく自然科学的研究とそれとは別方向からの人文・社会学的研究とを融合するための原理の構築の重要性が示唆された。
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