1996 Fiscal Year Annual Research Report
高脂肪食から高炭水化物食への切り替えが運動時のエネルギー代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
07680092
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
齋藤 慎一 筑波大学, 体育学系, 助教授 (80114081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正成 筑波大学, 体育学系, 教授 (90015842)
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Keywords | グリコーゲン・ロ-ディング / グリコーゲン / 中性脂肪 / 脂肪分解能 / ラット |
Research Abstract |
試合前の数日間の高炭水化物食の摂取(グリコーゲン・ロ-ディング)が、持久性運動能力(スタミナ)を高めることは、人でも動物でも十分に確かめられている。一方、長期の高脂肪食の摂取は、筋肉の脂肪(酸)酸化能力を高め、スタミナを高めるという逆の報告もある。このように、食事組成とスタミナの関係については現在混乱がある。我々はこの原因がそれぞれの食事組成単独の効果を主張することにあると考え、本研究ではむしろ両食事間の相乗効果を明らかにする目的でラットを用いて検討した。その結果、長期間高脂肪食を摂取したラットにごく短期間高炭水化物食を与えると、(1)運動前の筋肉と肝臓のグリコーゲン含量および筋肉の中性脂肪含量の二つのエネルギー源がともに高く、(2)運動前および運動中も脂肪組織の脂肪分解能が高く、(3)運動中の肝臓のグリコーゲン消費節約が認められ、(4)脂肪組織の脂肪分解活性と筋肉の中性脂肪含量との間の相関が高く、(5)脂肪組織の交感神経系のβ受容体数を顕著に増加させることがわかった。さらに、運動中の肝臓グリコーゲン消費節約は、高脂肪食から高炭水化物食に切り替えただけでは起きないが、高炭水化物食の摂取に加えてエネルギー摂取量の減少(減量)が伴うことによって引き起こされることがわかった。これらの結果を現実のマラソン選手の食生活レポート(トレーニング期の食事が高脂肪/高蛋白質の食事であること、試合がちかずくと食欲が減退してあっさりとした食事、すなわち高炭水化物食になる)と照らし合わせると、なぜグリコーゲン・ロ-ディングが持久性運動のスタミナを高め、良い成績をもたらすかの疑問に一部答えることになると考えられた。
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