1995 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系の運動療法に関する研究:大動脈及び心筋細胞の種々の血管作動性物質による生理応答の身体トレーニングによる変化
Project/Area Number |
07680102
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (70147495)
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Keywords | ラット / 胸部大動脈 / 身体トレーニング / 急性運動負荷 / ノルエピネフリン / アンギオテンシンII / 血管内皮由来弛緩因子 |
Research Abstract |
ノルエピネフリン(NE)やアンギオテンシンII(ANG)によるラット胸部大動脈の収縮(弛緩)に及ぼすchronic exercise training(CET)およびacute exercise(AE)の影響について検討した.胸部大動脈のNEによる収縮感受性はCETにより有意に低下した.このCETによる低下は血管内皮細胞存在下でより著明になった.しかし,血管の細胞内Ca^<2+>を除去したときのNEによる収縮反応に及ぼすCETの著明な影響は観察されなかったことから,このことは血管内皮細胞から遊離される拡張因子(EDRF)やプロスタサイクリンなどの局所因子がCTにより増加する可能性を示唆している.ANGによる収縮感受性もCETにより有意に低下した.しかしながら,このCETによる低下は血管内皮細胞の存在の有無にかかわらず観察され,ANGによる収縮感受性のCETによる変化は血管内皮細胞から遊離される拡張因子(EDRF)やプロスタサイクリンなどの局所因子に影響を受けないことが考えられた.このように,NEやANGによる胸部大動脈の収縮感受性のCETによる低下は,それぞれ異なった機構で調節されている可能性が明らかになった.また,イソプロテレノールによる収縮弛緩反応がCETにより低下し,β-アドレナリン受容体を介する機構にCTによって脱感作が生じることが明らかになった. NEやANGによる収縮感受性はAEにより有意に低下した.このAEによる収縮感受性の低下には,CET群とCETを受けなかった群とで有意な差は認められなかった.しかしながら,血管内皮細胞の存在下にみられる収縮感受性の低下はAE直後で著明に増加し,AEによってEDRFやプロスタサイクリンなどの局所因子が増加する可能性を明らかにした.
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