1996 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系の運動療法に関する研究:大動脈及び心筋細胞の種々の血管作動性物質による生理応答の身体トレーニングによる変化
Project/Area Number |
07680102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
井澤 鉄也 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (70147495)
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Keywords | ラット / 心筋細胞 / カルシウム / 身体トレーニング / カルモジュリン |
Research Abstract |
運動中や身体トレーニング(TR)後の心筋細胞の代謝動態および血管の収縮(弛緩)機構は不明な点が多く残されている.特に心筋細胞における脂肪分解反応に及ぼすTRの影響は全く不明である.そこで,今年度は,ラット心筋細胞における脂肪分解反応に及ぼすTRの影響について検討した.実験動物にはWistar系雄性ラットを用い,トレーニング方法等は既報(J.Appl.Physiol.71,23,1996:J.Appl.Physiol.74,2935,1993)に準じて行なった.TRにより骨格筋のSDH活性は亢進した.このことから,このTRプロトコールはは持久的身体TRとして効果的なものだと考えられた.最終TR終了48時間後に,ラットを麻酔下にて開胸し,心臓を摘出後,コラゲナーゼを含む緩衝液でランゲンドルフ潅流を施して心筋細胞に単離した.単離後,心筋細胞の脂肪分解反応とFura-2を用いて細胞内Ca^<2+>濃度を測定した.心筋細胞の脂肪分解反応(μmol/h10^7cells)は10μMのイソプロテレノール刺激により著明に亢進した(基礎値:1.02【.+-。】031,10μMイソプロテレノール刺激:4.14【.+-。】0.49).また,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)やイソブチルメチルキサンチンによる脂肪分解反応も同様に基礎値の4倍近く増強した.しかし,これらの脂肪分解反応は,緩衝液や細胞内のCa^<2+>を除去したり,カルモジュリン阻害剤によって著明に低下した.この事実から,細胞内Ca^<2+>-カルモジュリン系が心筋細胞の脂肪分解反応を調節していることが明らかになった.一方,脂肪組織の脂肪分解反応と同様に,種々の刺激薬による心筋細胞の脂肪分解反応はTRによって増強する傾向が観察された.しかしながら今回の実験では,心筋細胞の細胞内Ca^<2+>濃度のTRによる著明な変化は認められなかった.
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