Research Abstract |
大阪府下のD幼稚園の5歳の男児43名を対象に,幼稚園における身体活動量を調べるため,歩数計を用いて園児が登園してから降園するまでの歩数を43日間に亘って計測し,園生活における1分間当たりの平均歩数を算出した.その結果,43名の平均歩数の度数分布は2峰を示し,25.8steps/min以下の群(23名)とそれを越える群(20名)に分類でき,前者を非活動群,後者を活動群とした.そして,2群の形態とBMI,筋力(握力と背筋力),運動能力(25m走,立ち幅跳び,ボール投げ,片足立ち),立位での足圧中心位置(立位開始10〜20秒間と50〜60秒間の平均値)を測定した.これらの測定項目の中で,両群間に有意差がみられた項目は,足圧中心位置と背筋力および立ち幅跳びであった.足圧中心位置では,立位開始10〜20秒間と50〜60秒のいずれにおいても,非活動群は活動群よりそれが後方に位置していた(前者では踵を基準に爪先までの比が約46%,後者は56%).人の立位姿勢では背筋が帆船の帆網のように上半身を後ろから引っぱっていることから,重い上半身の前後方向の微妙な調整は脊柱起立筋が行っており,それは足圧中心位置に影響を与える.この脊柱起立筋は,背筋力を測定する時の主動筋であるため,足圧中心位置と背筋力とに関係があるのではないかと考え,両者の関係をみた.その結果,両者の間に立位開始10〜20秒間では関係がみられなかったが,50〜60秒間で有意な相関関係(r=0.31,p<0.05)が認められた.この結果は,背筋力が低い幼児では高い幼児と比べて重い上半身が前方に位置した姿勢をとり続けているのは楽ではないため,立位開始10〜20秒間では背筋力と足圧中心位置の間に有意な相関関係が認められなかったものの,50〜60秒間たってから両者に有意な相関関係が認められたものと考えられる. 以上の結果は,非活動児の脊柱起立筋の機能が低いことが要因となっていると考えられる.
|