1996 Fiscal Year Annual Research Report
^<31>P-NMRによる無機燐酸の動態からみた運動中の筋線維動員パターンの推定
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07680114
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 敬義 大阪大学, 健康体育部, 教授 (30097331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 直亨 大阪大学, 健康体育部, 助手 (80273720)
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Keywords | ^<31>P-NMR / 無機燐酸 / 筋pH / 運動 / 筋線維タイプ |
Research Abstract |
高強度運動中に無機燐酸が低いpHの成分と高いpHの成分とに分裂することが^<31>P-NMRを用いた研究により報告されている.しかし,この分裂が起こる要因については明らかではない.我々は筋の動員パターンでこのピーク分裂を説明できると考えた.このことを詳細に検討するためには^<31>P-NMRの時間分解能を向上させる必要がある.パルス角度および間隔を調節することで,5秒の時間分解能を得ることができた.そこで,クーリングダウンの有無および運動中の阻血の有無によって無機燐酸のピーク分裂の態様が異なるかどうかを観察し,それが筋の動員パターンの違いによって起こるものであるとの仮説を検証した.また,近赤外線分光法により血液量の動態を観察し,酸素供給状態の関与についても検討した. 高いpHの燐酸ピークは脚運動後直ぐに回復した.しかし,低いpHの燐酸ピークは運動後にクーリングダウンを行った場合の方が有意に速い回復を示した.これは,主に解糖を行う速筋線維への酸素供給が不十分となり,グリコーゲン分解が行われなくなったためと考えられる.クーリングダウンを行った場合,同時に計測した近赤外線分光法から算出した血液量は何も行わなかった場合に比べ大きな値であった.これは酸素供給が大きかったことを示しており,上述のことと一致する.また,脚運動時に280mmHgの圧で血管閉塞を負荷すると低いpHの燐酸ピークが閉塞負荷を行わない場合より早く現れた.これは酸素不足をクレアチン燐酸の分解および解糖によって賄ったためと考えられる.すなわち速筋線維が動員されたためにピークの分裂が起こったと考えられ,筋線維動員パターンの違いによって無機燐酸のピーク分裂が起こることが示唆された.
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[Publications] Yoshida,T.,Kamiya,J.,and Hishimoto,K.: "Are oxygen uptake kinetics at the onset of exercise speeded up by local metabolic status in active muscles?" European Journal of Applied Physiology. 70. 482-486 (1995)
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[Publications] Yoshida,T.and Watari,H.: "Effect of passive and active recovery on splitting of the Inorganic phosphate peak determined by ^<31>P-nuclear magnetic resonance spectroscopy." NMR in Biomedicine. 9. 13-19 (1996)
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[Publications] Yoshida,T.and Watari,H.: "Effect of circulatory occulusion on human muscle metabolism during exercise and recovery." European Journal of Applied Physiology. (in press).