1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笠井 達哉 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60112702)
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Keywords | 上肢挙上運動 / H反射 / 姿勢調節 / 抑制 / ヒト |
Research Abstract |
四肢による随意的な運動を効率よく遂行するためには、その運動を遂行する四肢のみならず、その運動の遂行を支える姿勢筋の関与が不可欠である。具体的には、立位姿勢で四肢及び頭部の急速な随意運動(上肢の挙上運動あるいは頭部の回旋運動)を遂行すると、その運動の遂行に前後して姿勢筋にも筋放電が観察される。この現象は、その運動の遂行に伴って生じる姿勢の乱れを小さくするために、随意運動指令とは別個に、姿勢筋にも運動指令が同時に到達している結果として起こる現象だと考えられている。上肢挙上の随意運動遂行の場合は、大腿二頭筋に先行筋放電が出現し、それに対応してヒラメ筋には筋放電休止期が出現する。また、頭部回旋運動においても同様の現象が観察される。 本研究では、上司挙上運動と頭部回旋運動の遂行に伴って出現する「予測的姿勢調節機構」について、これら2つの随意運動を同時に遂行した場合と、それらを単独で遂行した場合とでは、姿勢筋の筋放電の出現様相がどのような動的変化を示すかを検討した。すなわち、姿勢筋の随意運動遂行に伴う連合反応が、下腿ヒラメ筋の脊髄運動細胞の活動動態にどのような変化を惹起するかを、この筋のH反射の変化動態を指標に解析した。筋電図の変化とH反射を同時に記録し解析した目的は、筋電図として記録された姿勢筋の活動変化を、脳がどのように制御しているかという、脳と筋活動との対応関係を運動神経生理学的に検討するためである。その結果、両随意運動の遂行に付随して、下腿ヒラメ筋H反射は抑制され、しかも同時運動でその抑制量は増大した。このことから、予測的姿勢に伴う下降性運動指令は、目的の脊髄運動に集束していることが分かった。
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[Publications] Anson & Kasai: "Evidence for soleus H-reflex depression induced by ballistic head rotation" Neuroscience Letters. 195. 17-20 (1995)
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[Publications] Kasai. T.: "Anticipatory postural mechanisms : Some evidence and methodologi implications" Behavioral and Brain Sliences. 19-1. 77-78 (1996)
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[Publications] Kasai & Komiyama: "Soleus H-reflex depression induced by ballistic voluntary arm movement in human" Brain Research. 714. 125-134 (1996)