1996 Fiscal Year Annual Research Report
児童生徒のライフスタイルが体力運動能力の低下と健康および運動適応能に及ぼす影響
Project/Area Number |
07680127
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小原 達朗 長崎大学, 教育学部, 助教授 (80112366)
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Keywords | 中学生 / ライフスタイル / 活動性 / 最大酸素摂取量 / 健康度 / 運動実践能力 |
Research Abstract |
本研究では、(1)体力・運動能力と健康度との関係を運動適応能と最大酸素摂取量(VO_2max)を指標にし、(2)体力・運動能力の低下が運動実践に与える影響を体育実技能力から明らかにし、これをライフスタイルとの関連から検討しようとしている。 前年度は、小学生に関する調査を行い、小学生の活動に関するライフスタイルは一部では健康度に影響し、運動適応能の差も健康度に影響している面があることを明らかにした。今年度は、中学2年生を対象に調査し、以下のような点を明らかにした。 1.健康度と運動適応能との関連 健康度の指標としたVO_2maxと運動適応能との関連では、男子において運動適応能得点とVO_2maxの間に有意な相関を認めた。女子においても、運動適応能得点とVO_2maxの間に有意な相関が認められた。特に、ダイナミックな運動能の高得点者にVO_2maxの高い傾向がみられた。したがって、運動適応能は、健康度に影響をおよぼすものと考えられる。 2.健康度と活動に関するライフスタイルとの関連 家庭での生活、塾やスポーツ教室への参加、学校での生活の中での活動状況と健康度との関連については、男子は、高活動群、活動群および低活動群の間に明確な差は認められなかった。女子は、高活動群・活動群郡と低活動群の間に有意な差があった。男子は、本対象者は全体に概ね活動的であり、女子は、活動の程度の差が大きかった。したがって、活動的でない場合に健康度への影響があるものと示唆された。 3.ライフスタイルと運動適応能との関連 男女ともにライフスタイルの高活動群と低活動群との間で、運動適応能に明確な差は認められなかった。また、ライフスタイルと体育実技能との間にも明確な差は認められなかった。しかし、一部の低活動者において運動適応能、体育実技能の低い者があり統計的な処理に依存しない個別の検討が必要であると示唆された。したがって、ライフスタイルは、運動実践能に相関しないが、あるレベル以下の場合には影響があるものといえる。 以上の結果より、中学生の活動に関するライフスタイルは女子では健康度に影響し、各種運動に適応する能力の差は男女とも健康度に影響すると示唆された。特に、低活動者の運動能と健康度とライフスタイルの関連性の高さが明らかになった。
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