1995 Fiscal Year Annual Research Report
運動トレーニングで発達したラット脚筋のトロポミオシンの分子適応
Project/Area Number |
07680136
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山口 正弘 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (00052986)
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Keywords | 走運動トレーニング / トロポミオシン / グリセリン処理筋 / 筋収縮速度 / 速筋 / 遅筋 / 分子内架橋 / acto-HMM-ATPase |
Research Abstract |
運動トレーニングにより動員された骨格筋が発達し、機能的にも優れ、運動のパ-フォマンスも向上する。トレーニングは筋力や持久性及び収縮機能等を高めることが良く知られている。 筋肉の収縮機能に、深い関係を持つ筋収縮調節タンパク質の一つにトロポミオシン(Tm)がある。Tmの分子レベルの性質や運動トレーニングによる適応は次のようであった。 (1)骨格筋Tmはα-とβ-サブユニトからなる二量体で、CuSO_4を触媒としてサブユニト間を酸化し分子内架橋により検討した。骨格筋はα α-Tmとα β-Tmからなり、腓腹筋(速筋)ではα α-Tmが優位に存在し、ひらめ筋(遅筋)で殆どがα β-Tmであった。(2)グリセリン処理腸腰筋線維にウサギ腓腹筋Tmとひらめ筋Tmをそれぞれ交換付加し、ATP添加による張力発生速度は後者が前者より有意に遅くなった。(3)Aao-HMM-ATPasw活性に対する運動トレーニナング・ラット腓腹筋のTmによる阻害作用は、非トレーニング・ラットのものより低かった。(4)持久的走運動トレーニング・ラットのTmは非トレーニング・ラットと比較してα β-Tmが増加した。このTmを付加したグリセリン処理筋の収縮速度は非トレーニング・ラットのTm付加に比べて、低下した。 以上の結果から、骨格筋のTmはα α-Tmとα β-Tmから成っていて、筋肉中での両Tmの比率が筋肉の運動性と関係していると思われる。速筋や遅筋のもつ収縮性は、それらの筋肉が持っているTmの特性を反映し、短時間に多量のATPを消費する瞬発的収縮を可能にするα α-型Tmと、瞬発的でなくエネルギーを緩慢に持続的に供給し長時間筋運動を可能にするα β-型Tmに分化していると考えられる。走運動トレーニングによるα α-Tm/α β-Tmの変化は負荷された運動に適応したものと考えられ、Tm遺伝子の発現機構の存在を強く示唆する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山口正弘、他: "運動による筋肉疲労の回復に及ぼす牛乳摂取の影響-ラットを用いた、筋肉疲労の回復のため牛乳摂取法とそれに関する因子の解析-" 平成6年度牛乳栄養学術委託研究報告書. 180-187 (1995)
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[Publications] 山口正弘、他: "運動により筋肉で生産する乳酸の好気的代謝に及ぼすトレーニングの効果-Coriサイクルとの関係-" 体力科学. 44. 407 (1995)
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[Publications] 武田和子、山口正弘、他: "尾部懸垂により萎縮したラットの脚筋のトロポミオンの性質変化" 体力科学. 44. 415 (1995)
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[Publications] 刈間理介、山口正弘、他: "Effect of Interleukin-6 on Extra-Cellular Lactate Concentration of Rat Skeletal Muscle." SHOCK supplement. 4. 30 (1995)
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[Publications] 中山雪麿、山口正弘、他: "Effects of various trivalent cations on glycerinated muscle fibers." J. J. Physiol. vol. 45, supplement 1. 45. S105 (1995)