ペダリングスピードおよび負荷が下肢の二関節筋の筋活動に及ぼす影響

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07680138
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Juntendo University
• Principal Investigator: 形本 静夫 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教授 (50053343)
• Keywords: ペダリング / 二関節筋 / 積分筋電図 / 抑制

Research Abstract

ペダリング運動における筋収縮のスピードおよび力を変化させたときの鍛練者の二関節筋の筋活動の特徴を観察するために、自転車競技選手に自転車エルゴメータを用いて、1)一定摩擦負荷(3kp)でペダリングスピードを変化(50,70,90,110,130rpm)させる運動、および2)一定ペダリングスピード(60rpm)で摩擦負荷を変化(1,3,5,6,7,8kp)させる運動を行わせ、下肢筋の筋電図活動を観察した。筋電図は表面筋電図法を用いて、右の外側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋長頭および大腿二頭筋短頭より導出し、記録した。その結果、摩擦負荷を増加させるとペダル1回転あたりの筋放電量(積分筋電図:mV・sec/回転)は、いずれの筋においても直線的に増加し、筋による違いは観察されなかった。このようないずれの筋においても認められた負荷の増加に伴う筋放電量の直線的な増加は、非鍛練者のそれとは異なっていた。一方、負荷を一定に固定してペダリングスピードを増加させたときのペダル1回転あたりの筋放電量の変化は、負荷を増加させた場合とは異なる傾向を示した。すなわち、単関節筋である外側広筋と大腿二頭筋短頭の放電量は、スピードを増加させても変化しない傾向にあったが、大腿直筋や大腿二頭筋長頭の放電量はペダリング速度の増加に伴って低下する傾向を示した。これらのことから、運動スピードの増加は、ペダリングにおける下肢の二関節筋の活動を抑制する可能性が示唆された。