1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680153
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
平井 敦夫 金沢学院大学, 経営情報学部, 教授 (00141367)
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Keywords | 摂食 / 運動 / 蒸散性熱放散 / 体温調節 / 発汗 |
Research Abstract |
6人の被験者に食物摂取条件と非食物摂取条件で自転車エルゴメーター運動を負荷し、この時の鼓膜温、平均体温、心拍数、発汗量を測定した。食物摂取により、鼓膜温、平均体温、心拍数は有意に増加した。運動中、体温の上昇に比例して前腕の発汗量は大きく増加した。発汗が始まるまでの発汗潜時は食物摂取条件で有意に短くなった。発汗開始時の鼓膜温ならびに平均体温は食物摂取条件で高くなった。鼓膜温上昇に伴う発汗量の増加の割合の程度に摂食の有無による差は認められなかった。運動時には、著しく発汗量が増大する。そしてその発汗の増加過程は、体温や皮膚温の変化過程に先行する。その発現機序については、運動を始めた筋温の急激な上昇に感ずる温度受容器が、筋肉あるいは静脈壁に依存しこれに発する求心性衝撃によるものか、筋や関節の機械的受容器からの反射によるものかについては、今後の研究を待たなければならない。今回の実験の結果では、食物摂取条件での発汗潜時は非食物摂取条件でのものに比べて、有意に短くなっているので、摂食によるものが発汗の発現機序に何らかの修飾を与えたことが考えられよう。さらに発汗発現には、局所皮膚温も影響し、局所的に温められた部位では早く、冷やされたところでは遅く発現するのは、局所皮膚温が発汗を起こす刺激閾に影響するためであると考えられるので、摂食による皮膚温の上昇が発汗潜時を短くした可能性が考えられた。体温の上昇に伴う発汗量の増加の割合には、食物摂取の有無による差は認められなかった。しかし、発汗の発現時の体温は食物摂取条件で高く、発汗閾値温が高温側に移行する可能性が示唆された。これには体液量が変ると体温の上昇に対する発汗の増加の割合が変ることが考えられるので摂食により体液量を含む循環動態が変ったことによると考えられる。
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[Publications] 平井 敦夫: "摂食が指部と前腕部の血管反応に及ぼす影響" 体力科学. 44(6). 744- (1995)
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[Publications] 田辺 実: "運動時の手掌発汗量に及ぼす運動強化の影響." 発汗学. 2(1). 41- (1995)
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[Publications] 平井 敦夫: "摂食による体温調節機構への修飾" telos. 15. 1-5 (1995)
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[Publications] 平井 敦夫: "摂食が運動時の発汗反応に及ぼす影響" 金沢学院大学経営情報学部紀要. (in Press). (1996)