1996 Fiscal Year Annual Research Report
経済的中枢管理機能によるアメリカ・オーストラリア・イタリア・カナダの都市体系研究
Project/Area Number |
07680163
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
阿部 和俊 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00109365)
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Keywords | 経済的中枢管理機能 / 都市体系 / 都市間結合 |
Research Abstract |
本申請研究は経済的中枢管理機能という高次都市機能の分析を通して,アメリカ・オーストラリア・イタリア・カナダの都市体系を研究することを目的としていた。本研究は各国の都市体系の研究にとどまらず,日本をはじめとして申請者が既に分析を終了している国々との比較をも行い先進国の都市体系としてまとめることをも目的としている。 ここでいう都市体系とは経済的中枢管理機能のあり様からとらえた,各国の主要都市の相互比較・都市間結合の状況を意味している。 アメリカ合衆国については,まず何よりも特定都市への本社集中度が低いことを挙げなくてはならない。本社数最多都市はニューヨークであるが,それは対象とした主要企業の4.3%にすぎない。支所についてはシカゴが最も多く,ニューヨークは第8位にすぎない。首都であるワシントンDCはいずれも多くを所有していない。このようなタイプは先行研究の西ドイツに類似している。 オーストラリアとイタリアについては,まだ本社の分析にとどまっている。前者ではシドニー,そしてメルボルンに本社が多く,後者ではローマが本社最多都市であった。首都キャンベラに主要企業の本社が多くないというのはアメリカ・西ドイツと同じであり,歴史的な慣性のほかに政治制度が大きく関与していると思われる。 カナダでは,本社数最多都市はトロントであり,モントリオールやカルガリ-がこれに続く。しかし,支所数第1位都市はモントリオールである。カナダではトロントとモントリオールがこの機能からみた二大都市であるが,両都市に本社をおく企業は相互に多くの支所を出しあっていることが確認された。言語をはじめとしてケベッックとそれ以外の州との異質性・分離性が強調されることの多いカナダではあるが,この機能からみる限り,両地方は強い結びつきをもっていることが明らかになった。
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