1997 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な農業・農村システムとしてのグリーンツーリズムの成立基盤に関する研究
Project/Area Number |
07680170
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菊地 俊夫 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50169827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関戸 明子 群馬大学, 教育学部, 助教授 (50206629)
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Keywords | グリーンツーリズム / 都市近郊 / 生産緑地 / 緑地環境 / 多機能性 / 福祉リゾート / 過疎地域 / 高齢化 |
Research Abstract |
平成9年度には、今年度までの事例調査を集約する作業を行うとともに、科学研究費補助金研究成果報告書を作成した。さらに、研究代表者は都市近郊のグリーンツーリズムの事例として、東京都調布市における農業的土地利用の変化に関する調査を行った。この調査では、都市近郊の農地が農産物の直売などの都市-農村交流を通じて、あるいは生産緑地や緑地環境の保全などにより維持されていることを明らかにした。つまり、都市近郊の農地は生産機能の空間としてだけでなく、余暇機能やアメニティー機能など多機能型の空間として維持されるようになってきており、それは農村の資源や生活を生かした内発的でソフトなグリーンツーリズムに共通している。さらに、研究代表者は日本の農村におけるグリーンツーリズムと比較するために、日本においてオーストラリアのシドニー大都市圏の資料に基づいて、近郊農村のグリーンツーリズムの分析を行った。 一方、研究分担者は群馬県吾妻郡六合村の世帯構成と就業の変遷を調査することにより、過疎山村の集落維持システムを検討した。この調査では、地域の活性化が静かで緑豊かな自然景観と豊富な温泉という環境資源を生かして、医療・福祉・保健機能を重視して行われてきたことを明らかにした。このような「福祉リゾート」のグリーンツーリズムは地域住民が安心して生活でき、観光客を引きつける村づくりの1つの方策として、高齢化の進んだ過疎地域で有効であることも確認された。また、研究分担者は、イギリスと比較するため、日本において資料に基づきながら、イングランドの西アングリア地方における持続可能な農村・農業システムとグリーンツーリズムを分析した。
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[Publications] 張貴民・菊地俊夫: "社会主義市場経済下における北京市の市民生活" 地理月報. 436号. 1-3 (1997)
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[Publications] KIKUCHI,T.,Zhan,G.M.and Guo,H.C.: "Land use changes and their driving force in the Beijing metropolitan area,china" Geographical Report of Tokyo Metropolitan University. 32号. 43-57 (1997)
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[Publications] 宮澤 仁・菊地俊夫・張 貴民: "秋田県における農業協同組合合併のプロセスとその地域的性格" 経済地理学年報. 43巻. 165-184 (1997)
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[Publications] 菊地俊夫: "関東地方における都市-農村交流の存在形態-グリーンツーリズムの諸類型とその存在意義-" えりあぐんま. 4号. 1-13 (1997)
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[Publications] 関戸明子: "近代日本における山村研究の視覚と山村概念について" 群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編. 46巻. 281-306 (1997)
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[Publications] 菊地俊夫: "酪農・畜産業の立地展開" 経済地理学会編「経済地理学の成果と課題」大明堂. 108-117 (1997)