1997 Fiscal Year Annual Research Report
完新世における砂州地形の発達過程と人間活動の変遷に関する研究
Project/Area Number |
07680192
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松原 彰子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (20239065)
|
Keywords | 海岸低地 / 砂州地形 / 完新世 / 地形発達史 / 有孔虫化石群集 / 低地遺跡 / 古環境復元 / バリアー島 |
Research Abstract |
1.平成7年度に静岡県清水低地で実施したオールコア・ボーリング試料中の有孔虫化石などの古生物学的解析結果および年代測定値に基づいて,低地における砂州の地形発達過程を検討した。さらに,低地に分布する遺跡の時代との対応から,低地の発達史と人間活動変遷との関係を考察した。これらのことより,次のような点が明確になった。 (1)清水低地における砂州地形の形成は約6000年前以前から始まったが,内湾を本格的に閉塞するような砂州の発達は,およそ5000年前であった。この砂州は5000-4000年前には完成した。ほぼ同じ頃に,三保砂嘴も島状の地形から,有度丘陵側とつながる現在のような形態に形づくられた。 (2)清水低地の中で人間が最初に進出した場所は,約6000年前以降に離水した最上位の完新世段丘の上であり,その時期は縄文時代後期頃(約3000年前)であった。その後,およそ2000年前以降になると,砂州や自然堤防上などに人間生活の場が拡大した。さらに4000年前頃に完成した砂州や三保砂嘴は,約1500年前以降の人間生活の拠点となった。 2.駿河湾沿岸地域のほか,北海道常呂低地,相模川下流低地,浜名湖,九十九里平野,新潟平野などの砂州地形発達をまとめた結果,現在の低地の形態に関わらず,砂州地形の起源が完新世前半の海面上昇期までさかのぼることが明らかになった。 3.日本における砂州地形の発達過程の特徴,および地形発達過程と人間活動変遷との間の関係を考察した結果をまとめて,報告書を作成した。
|