1995 Fiscal Year Annual Research Report
環境教育教材開発に関する基礎研究-生気象学的にみた森林内空気環境の実態を探る-
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07680263
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鈴木 路子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50092466)
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Keywords | IBP / HA部門 / 環境保健教育教材 / 耐暑性耐寒性 / 森林内空気環境 / 桧林内環境 / 自然浄化作用 / 森林生態系 |
Research Abstract |
人間の生活生存(発育・生活生命現象)が自然生態系を保ちつつ、よりよい共存を計るためには、適切な環境保健教育教材の開発とその方法論が教育の根底に存在する必要があろう。 本研究の背景には、IBP(国際生物事業計画)HA部門(人の適応能)の方法論を用いた日本の全館冷暖房完備防音校舎、寒冷地・温暖地域の木造校舎で学ぶ児童生徒の心身状態、学習意欲等、インドネシアの高地、海浜地域など各種異なる環境で生活生存する成長期の子どもの発育健康状態、耐暑性耐寒性など「温度適応能」に関する現地調査結果が存在する。これらの結果の教材化を行うとともに、本年度は、自然生態系のうち、森林生態系に視点をおき、森林内空気環境の実態を探るための第1段階として、森林内空中浮遊及び落下微生物調査を行い、造林・育林専門家、林業試験所関係者等との情報交換、研究協力体制づくりを行うとともに、樹齢80年の桧林(岐阜県美濃市県立林業センター・同林業短期大学校の実習林)を対象に、樹木の代謝活性の最も低い冬季にGMPの方法に準じて、森林内空気中微生物の採取培養を行った。一般細菌用として普通寒天培地(NA)、TSA、低栄養培地(TSAの希釈培地)、また真菌用はPDAcを用いた。さらに森林内土壌調査と土壌微生物の培養、土壌抽出液を用いた培地の検討を行った。培養の結果、NAよりは、TSAに多く生育し、また低栄養培地の方がさらに多かった。また、森林内外での生育菌数の比較では、森林外は、時間による変動が多く、朝は最も少なかったが、昼夕刻は増加し、特に気流による影響が大であった。森林内も朝が最も少なかった。森林内の細菌数は全体として少なく、清浄度は、NASAのクラス100に相当した。またグラム染色・検鏡結果、採取された細菌はグラム陰性かん菌と酵母であった真菌は、夏季の採取時と異なり、Penicilliumは少なく、Alternalia,Cladospolium,Yeast,Fusalium、胞子未形成菌等であった。冬季の桧林内環境での測定は、気象条件による影響、森林内測定場所が林道で、土壌がむき出しになっている場所もあり、代謝活性が高い夏季の木曽桧林内樹木下での測定結果とは異なると理解された。次年度は、桧・杉・広葉樹林等樹種の異なる森林を用いて、季別測定を行い、自然浄化作用など森林生態系の環境保全に果たす役割(人と環境との共存)を環境教育の身近な問題意識を高める実験的な教育素材として「授業過程」に導入する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 物部博文,鈴木路子,他2名: "植物算入による教室内空気の浄化に関する実験的研究" 東京学芸大学紀要 第5部門 芸術・健康・スポーツ科学. 第47集. 303-324 (1995)
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[Publications] 鈴木路子,他3名: "生気象学的にみた森林環境の再評価に関する環境保健教材研究" 東京学芸大学紀要 第5部門 芸術・健康・スポーツ科学. 第46集. 211-220 (1994)
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[Publications] 鈴木路子 編著: "人間環境学〜くらしの科学としての〜" 福村出版, 236 (1995)