1997 Fiscal Year Annual Research Report
バイオメカニクス的運動理解を重視した体育の教授ー学習モデルの呈示
Project/Area Number |
07680267
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Research Institution | FUKUI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宗倉 啓 福井大学, 教育学部, 助教授 (20154685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野嶋 栄一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (20000086)
梅澤 章男 福井大学, 教育学部, 教授 (70151925)
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Keywords | バイオメカニクス的知識 / 体育の教授ー学習モデル / 認知 / 運動表出 / 側転 / 運動方略 |
Research Abstract |
本研究の最終的目的は、体育の「教授ー学習モデル」を提案することにある。題材では特に側転を取りあげ、平成7年度は、未熟練者による側転スキルの訓練実験から習得プロセスを定性的・定量的に把握することを、平成8年度は、未熟練者の側転スキル習得プロセスを教授行為が変容させ得るかについて検討を加えることを主たる研究課題としてきた。その結果、以下のような知見を得た。(1)未熟練者はバイオメカニクス的知識を意識化することが困難であったり、知識と運動表出とのずれのあること。(2)スキルの取得に対応して認知的方略も質的に変化する。(3)指示言語による被験者の認知と運動表出との対応関係ではこれまでに経験のない動作や聞いたことのない指示内容については認知されたうえ、その動作もこれまでの経験に基づいた動作を変え得た。 平成9年度は、「できる」と「できない」とでは他者の運動表出を読みとる能力が異なるのかどうかを実験的に吟味することを主たる研究課題としている。それは、「他者の運動表出を観察する能力は、その人のスキル習得段階に依存する」あるいは「グループ学習が成功する鍵は、お互いが他者の運動表出を読み取る能力に依存する」という実践的な経験則を実証するためである。 当初、運動スキルの習得段階の異なる40名の被験者にVisualテストを施行し、運動表出の読み取りにスキル習得段階が関与しているか否かを明らかにしようとした。データを収集分析した結果、予想外に大きな個人差が認められることが判明した。そのため、統計的分析から有意味な結果を抽出することが困難であった。そこで、新たに40名程度の被験者を増やし、各習熟段階に属する被験者を増やすことによって信頼性のあるデータが得られると考えた。データ収集に3月一杯かかる必要があり、その後ただちに分析を行って取りまとめたい。
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