1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680321
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
米倉 達宏 茨城大学, 工学部, 助教授 (70240372)
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Keywords | 非線形データ / 非線形写像モデル / 写像特徴密度 / 大局的曲率 / 統計的判別問題 / 一価関数近似 |
Research Abstract |
当該年度(平成7年度)において報告者は、ニューラルネットに代表される非線形写像モデルに内在する微分幾何学的性質に着目し、これを定性的に記述するための理論的枠組み、ならびにそのなかで、微分幾何学的複雑度を数量的に評価する指標の候補を提案した.それらは各々、写像特徴密度と大局的曲率の概念である。 ここで写像特徴密度とは、与えられた写像群(写像を実現する関数に含まれるパラメータの値を変えてできる関数集合)についての、ある幾何学的特徴量の確率密度で定義される。写像特徴密度はその写像群に不変な量を与える。例えば関数における変曲点の数aや、その関数値が0をとる(方程式の解)数bが幾何学的特徴量であり、その関数に含まれるパラメータ値を変化させたときの、パラメータ空間全域における同時微量の確率密度を、特徴aまたは特徴bの写像特徴密度を呼ぶ。 また大局的曲率とは、関数が与えられたときその曲率すなわち方向変化量の絶対値の、関数の定義域全体にわたる積分値と定義する。大局的曲率はスケール不変な無次元変数であり、関数の次数について単調増加である。これにより、ある意味での関数の複雑度を評価することができる。 以上の諸概念を通して非線形写像モデルによる幾何学的性質を2種類のケースで調査した。具体的には、第一に統計的判別問題における複数カテゴリ間の境界形状に関してニューラルネットを適用する問題であり、第二には一価関数の近似にニューラルネットを適用する問題である。これらの予備的調査の結果上記の写像特徴密度どうしの比較(KL情報量などを用いる)による写像モデルの類似性の評価の可能性を示唆することができた。今後の課題としては、主成分分析やクラスタ分析などへの応用、ならびにこれらの概念を用いた、写像モデルに内在する「容量(capacity)」の定量化などが挙げられる。
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