Research Abstract |
昨年は、モーション・キャプチャリング・システムで計測した位置データから表情筋の収縮率を算出して,怒り,悲しみ,恐怖,嫌悪,驚き,喜びの6種類の表情を表現することができたが,本来人間が見せる微妙な表情を表現することは困難であった.そこで,本年度は,実時間三次元計測装置を用いて微妙な人間の表情データを計測し表現する手法について検討を行った.実験に用いた三次元計測装置は,実時間で人間の顔の大きさ程度の三次元物体の高精度形状計測が可能な装置であるため,動きを伴った物体の三次元形状計測も可能である.しかし,この計測装置は縞投影を用いているため,撮影装置に対して傾きが大きい面や光が反射されない部位に対してはデータが計測できないという問題点がある。 そこで,本研究では,表情作成の基礎的な研究としてデータ欠損のない三次元顔モデルを生成する手法について検討を行った.提案手法は,無表情で顔を左右に振る動きを三次元計測装置で計測し,そのデータを用いて逐次的に三次元顔モデルの欠損部分の補間および計測誤差を修正する手法である.まず,ある時刻に計測された三次元データから初期値となる顔モデルを作成する.その後,逐次的に計測されたデータから作成した顔モデルとその時点までに補間,修正を行った顔モデルを比較し欠損部分の補間,モデルの修正を行うことで三次元顔モデルを作成した. また,現実感のある人間の顔を表現するためには,リアルな頭髪の表現も必要である.本研究では,リアルで個性的な頭髪を容易に作成する手法の提案も行った.そこで,提案手法では,人間の頭部を撮影した3枚の映像から頭髪領域を抽出し,3次元頭髪領域をヘアボリュームとして作成する.一方,入力として用いた3枚の画像から頭髪の流れを検出し,頭髪をヘアボリューム内に生成することで,個性のある頭髪を作成した.また,本研究では,人間の表情,頭髪の表現とともに,リアルな人間の掌握運動についても検討を行った.
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