1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
赤木 正人 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (20242571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 護 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (20262595)
飯島 泰蔵 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (50016622)
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Keywords | 個人性 / 個人性物理関連量 / 声道 / スペクトル包絡 / 声帯 / 基本周波数包絡 / 側音化構音 |
Research Abstract |
音声における個人性は、声道情報を反映したスペクトルの包絡特性および声帯情報を反映した基本周波数特性の二つの物理量で記述されると言われているので、スペクトル包絡と基本周波数それぞれに含まれる個人性物理関連量を調査した。特に今年度は、スペクトル包絡に含まれる個人性と個人性と深くかかわっている音声の音色について、構音異常者である側音化構音の音響特性を調べた。得られた知見は以下の通りである。 1.スペクトル包絡について (1)個人性はスペクトル包絡全体に現れるが、高域により多く現れる。(2)話者識別にはスペクトル包絡のディップよりもピークが重要な意味を持っている。(3)個人性はスペクトル包絡の20ERB rate (1740Hz)付近のピーク以上の帯域に顕著に現れ、この帯域を利用して声質変換が可能である。(4)スペクトル包絡における個人性は基本周波数における個人性よりも話者識別に寄与する。(5)本研究により個人性を表すことが明らかになったスペクトル包絡の高域を音声合成に応用すること可能である。(6)この帯域における個人性を利用して話者正規化や話者適応を行う技術を開発することにより、不特定話者音声認識の性能向上が期待できる。 3.側音化構音の音響特性 (1)側音化構音のスペクトル包絡においては、5kHz以上の帯域におけるパワーが少なく、3kHz付近に存在するスペクトルのピーク位置と大きさが不規則に変化していることが確認された。一方、正常音ではこのピークは見られない。(2)ピークの位置および大きさ、5kHz以上の帯域のパワーを制御して合成音を作成し、日ごろ側音化構音の治療にあたっている言語臨床家に呈示したところ、側音化構音の聴覚印象が変化したことから、このピークの時間的変化および高域のパワーが側音化構音の聴覚印象を与える原因であると考えられる。(3)声道形状を模擬した声道シミュレータを作成し、側音化構音の動態と音響特性の関連を調べた。この結果、声道のせばめの位置と長さが、ピークの位置および大きさ、5kHz以上の帯域のパワーに関係していることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 赤木,高木,北村,鈴木,藤田,道: "側音化構音の知覚と物理関連量" 電子情報通信学会技術報告. SP96-34. (1996)
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[Publications] Kitamura and Akagi: "Relationship between physical charactevistics and speaker indivih-akfies" Proc. ASA-ASJ Joint Meeting. 833-838 (1996)
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[Publications] Akagi and Kitamura: "Perception of lateral misavticulation and its physical covvelafes" Proc. ASA-ASJ Joint Meefing. 933-936 (1996)
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[Publications] 北村,赤木: "連続音声中の母音に含まれる個人性について" 日本音響学会聴覚研究会資料. H-96-98. (1996)
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[Publications] 北村,赤木: "単母音の話者識別に寄与するスペクトル包絡成分" 日本音響学会誌. (印刷中). (1997)
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[Publications] Akagi and Ienaga: "Speaker individuality in fundamental freguency contours and its control" J. Acoust. Soc. Jpn. (E). (印刷中). (1997)