1995 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚末梢系の生理モデルに基づく新しい人工内耳システムの研究
Project/Area Number |
07680393
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
北澤 茂良 静岡大学, 情報学部, 教授 (00109018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 勝 静岡大学, 情報学部, 助手 (80236637)
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Keywords | 人工内耳 / 聴覚モデル / 音響シミュレーション / 音声符号化 |
Research Abstract |
逆聴覚モデルの作成: 聴覚末梢系の数理モデルを逆変換するすなわち逆問題を解くことは、対象モデルが非線形要素を含んでいるために、解析的に解くことは不可能で実際的に問題ない範囲で近似できるかどうかにある。蝸牛内での半波整流波から全波が復元できるかどうかが最大の難関であったが、半波整流波形が保持されるという制約条件の下での巡回的アルゴリズムによって漸近的に近似できることが確認できた。このとき通過波形が帯域制限されていることが前提条件となっているが、帯域制限と復元精度の相関関係および繰り返し回数との関係を定量的に評価しているところである。なお、蝸牛での非線形飽和特性の逆変換もまた非線形逆問題である。外耳から内耳に至る音響系の伝達特性は線形系として処理できるので逆変換は原理的にも実際的にも容易であるから、今後急速に進展する予定である。 音声情報の超圧縮・圧縮した音声品質の評価: 音声波の人工内耳電極パルスへの効率的な変換については音声符号化法の原理に基づく理論的定式化を終えてその効果を確認するためにアルゴリズム化を進めている。音声符号化法では入力音声を分析して近似フィルターを得ているのにたいしてこの問題では所与のフィルターセットについて最適な組み合わせ系列を求める問題に帰着できるという見通しである。このときフィルターセットを符号とする正負のパルス系列が圧縮音声情報として得られ、これを人工内耳の電極パルスに対応づけるのである。ここでの符号化が位相が180°異なる正負パルスによって定式化されているのにたいして人工内耳では単一の極性パルスのみしか伝達できないことを考慮しなければならない点にある。ここにおいて逆聴覚モデルの半波整流波から全波整流波を復元する課題との統一によって解が得られるとの見通しである。
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Research Products
(1 results)