Research Abstract |
平成7年度は発想支援システム郡元を用いて衆知を集める発想法の一つであるKJ法を,まず,鹿児島大学の工学部情報工学棟内で2年生および3年生を被験者に用いて行った.テキストベースのチャットのみを用いて隣接した場所,同一階,異なる階(2階,4階,5階)でのコミュニケーションをとり,KJ法を行う実験を行い,この実験の結果をマルチメディアをコミュニケーションに用いた異なる階(2階,4階,5階)でのKJ法の実験と比較した.マルチメディアには画像(1秒間に1コマ程度)と音声とを用いた.その結果,KJ法の本質的な部分である意見の数,島の数,文章の文字数,かかった時間には変化がなかった.また,チャットのみで行った実験で,異なる階では他の環境(隣接した場所,同一階)と比較して増加した雑談の数は,マルチメディアをコミュニケーションに用いた実験でも減らなかった.しかし,アンケートの結果から1秒間に1コマ程度の画像でも,相手の雰囲気はわかり,あると便利であり,音声の聞こえやすさがより重要であることがわかった. 次に遠隔地間で実験を行うために,インターネットに対応する通信用の仕組みを開発した.これを用いて,1500キロ離れた鹿児島大学と東北大学電気通信研究所との間でマルチメディアをコミュニケーションに用いたKJ法の実験を主として大学院生を被験者として行った.この実験の結果,遠隔地でも十分KJ法は行え,マルチメディアを用いると近くにいる雰囲気になることがわかった.しかし,まだ,実験回数が少ないため,データの分散が大きく,今後実験を積み重ねる必要があることがわかった.
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