1995 Fiscal Year Annual Research Report
アクチノイドの岩石風化生成物に対する収着機構の検討
Project/Area Number |
07680521
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 浩道 東北大学, 工学部, 助手 (00166654)
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Keywords | ネプツニウム(V) / 鉄酸化物鉱物 / 含水酸化鉄 / アルミニウム酸化物鉱物 / 含水酸化アルミニウム / 収着機構 / 分布係数 / イオン交換 |
Research Abstract |
本年度は、鉄およびアルミニウムの酸化物鉱物及び実験室で合成した含水酸化物を用いて、トレーサー濃度(10^<-12>-10^<-13>M)のNp (V)の分配をpHの関数として測定し、収着挙動の支配的因子を明らかにした。 分配係数の時間変化を調べた結果、Np (V)の収着には速く進行するもの(1時間以内で平衡に到達)と非常に遅く進行するもの(数日でも非平衡)があることが分かったが、実験的室検討では時間的制約があり、比較的速く進行する反応のみに半定量的に注目せざるを得ない。ヘマタイト、マグネタイトやコランダムといった酸化物鉱物には有効な収着がみられないのに対して、オキシ水酸化物や非晶質含水酸化物のような細孔の多い構造を持つ風化生成物ではかなり高い収着がみられた。また、後者での収着はナトリウムイオンがイオン交換で取り込まれるpHよりはるかに低いpHで起こり、Np (V)の収着は固相表面の活性基との配位性の結合によるものと考えられる。分布係数の対数値のpHに対する変化の勾配が合成の含水酸化物でほぼ1に近いが、鉱物ではより小さく1/2に近い結果を得た。このことから、前者では固相表面における共有結合の形成が示唆されるが、後者では表面電荷とNp (V)の正電荷との引力による電荷中和型の取り込みが起こっているに過ぎないのではないかと考えられる。一方、オキシ水酸化物のほうがより非晶質性が高くルーズな構造の含水酸化物沈澱よりもNp (V)を良く収着し、更に、固相のイオン交換容量とは単純な対応関係を示さないことが分かった。これらは、溶液がアクセスできる固相表面積がどれだけ有るかということだけでなく、固相の骨格構造により表面の酸素とNp (V)との反応が影響されること、および鉄やアルミニウムの酸化物鉱物の風化による構造変化が放射性核種の地層環境中での移行現象に重大な影響を及ぼすことを示唆するものである。
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